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2001年01月号/第102号  [ずいそう]    

身土不二
附田 正 (つくだ ただし ・ 青森県 農業)

「身土不二」とは、身体と土は一体のものだ、食べ物はその土地で作られたものが一番身体によい、という意味だと思う。だから私は、農業問題でひとと話をするとき、よくこの言葉を引き合いに出す。

11月下旬に私の所で小さな収穫祭が催された。数年前から私たち農家と消費者との間で米の産直を行ってきたが、毎年収穫祭を行って交流と親睦を深めているのである。自分たちで味噌や豆腐をつくり、野菜や肉を持ち寄ってつくる料理で、会は大いに盛り上がる。

勉強会も行っている。外米を輸入して農家には「米をつくるな」という政治、大手スーパーや商社が外国で野菜をつくらせ、輸入して日本の農家をいためつけている問題、薬漬けの輸入野菜や遺伝子組み換えの問題までが議論になった。そこで私が身土不二の話をしたら、年配の方から「昔の人は、食べ物は四里四方のものを食べるのが良いと言っていましたよ。やっぱり身土不二ですね」と共感してくれた。

また、ある農業問題の集会で、私が身土不二の言葉をもち出したら、集会の感想文の中に“身土不二”という仏教の名言を教えていただいた。もっとくわしい意味を知りたい」というのがあって、実はおどろいた。あわてて辞書などで調べてみたが、この言葉は見当たらない。私は内心、この言葉をつかうのに少々戸惑いを感じるようになっていた。

ところがつい最近、この言葉はとなりの韓国で農産物の自由貿易化に反対するスローガンとして盛んにつかわれていることを知った。韓国語だったのだと自分なりに納得した。

しかし、身土不二を看板にかかげながら、韓国は国をあげて輸出攻勢をかけ、日本の農業をおびやかしている。韓国からのミニトマトに高濃度の農薬が検出され、問題になった。

国土や環境の保全、美しい景観のために、農村と農業は必要だ。国民の健康と安心のために、せめて食べ物だけでも国産のもの、地元のものにしたいものだ。

身土不二の言葉をこれからも言い続けたいと思っている。

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