ウェブマガジン カムイミンタラ

2002年01月号/第108号  [ずいそう]    

ハンサムな女性になりたい?
中山 よし子 (なかやま よしこ ・ 北海道労働局外国人労働者労働条件相談員)

"You are not shy"と同僚のアメリカ人に言われた時は、少し複雑な気持ちになった。英会話学校で働き、同僚がほとんど英語圏の外国人だった頃の話である。

日本人は、かなり英語を話せる人でも「私は自信がない」と言うのが普通だった。性格の話になると、まず9割までの人が「私はシャイです」と言う。本人は「控え目、慎み深い」というほどの意味で使っていることが多い。

日本人としては美徳の部類に入る表現だから、一見、謙遜しているかに見えて、その実、「私はまともな大人だ」と言いたいのだ。ところが英語圏の人にとって「シャイ」であることは「引っ込み思案」、「人との交際に慣れていない」など、それほど褒められた性格ではない。日本語化した英語の中には、本来の意味とは違ったニュアンスで使われるものが結構ある。かく言う私も、日本人としては割合はっきり物を言う方だが、自己主張が服を着て歩いているようなアメリカ人(内気な人もいるので念の為)から「お前はシャイではない」と言われた時、「私は、そんなに出しゃばりじゃない!」と心の中で叫んでしまった。

あとで別の外国人から「それは褒められたんだよ」と言われ、気を取り直したのだが。

意味がよく解っていなかったことに加え、自分が「控え目な日本人」と見られたいと内心思っていたことに気付いた。

「ハンサム」は、女性にも使われる。「ハンサムウーマン」とは大柄で堂々とした女性と辞書にあるが、私が同僚から聞いた感じでは「自立し精神的にも堂々とした女性」の意味もあるらしい。真紀子大臣が多くの批判にさらされながらも人気があるのは、日本にも本格的なハンサムウーマンの時代が来てほしいという潜在的な期待が女性の中にあるからではないだろうか。市井の半寒(ハンサム)ウーマンとしては、内なる依存体質と闘いつつ、この流れを見守っているところである。

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