田園地帯でゆったりとした休暇を過ごす「グリーンツーリズム」。最近、あちこちのマスコミで取り上げられるようになったので、ご存知の方も多いだろう。
景観フォーラムなどでグリーンツーリズムのことを知り、興味を持っていたが、関心を深めたきっかけは、7年前のイギリス旅行だった。イギリス湖水地方に「童話ピーターラビットのふるさと」を訪ねたときの、感動と感激は忘れられない。美しい田園風景の中を散歩したり、ガーデニングの素晴らしさに目を奪われたり……。「イギリス人はカントリーサイドが好き」という話を肌で感じもした。
イギリスの田園地帯は本当に美しく、穏やかで、心が癒される場所なのだ。ロンドンなど都会の人が、引退後には田舎に移住したがるという話もおおいにうなずけた。グリーンツーリズムに関した本を読むと、イギリスの人達がいかに田園地帯の大切さを感じ、守ろうとしているのかも分かった。
北海道のグリーンツーリズムは? と思い始めた頃、取材で出かけたのが、新得のファームイン(農家民宿)「つっちゃんと優子の牧場のへや」だった。酪農家の湯浅健(つよし)さん優子さんご夫妻が経営する小さなファームインには、グリーンツーリズムの魅力が詰まっていた。ゆっくりと流れる時間の中で感じる十勝の牧場風景の美しさ、とりたての野菜や牛乳のおいしさ、乳搾り体験の面白さ、ご夫妻とおしゃべりする楽しさ……。「美しく、心安らぐ場所は田園地帯にこそある」と実感した。
その後、グリーンツーリズムファンの人達と勉強会を開いたり、十勝地方に視察に出掛けたり……。グリーンツーリズムを広めるためのNPO法人「北海道ツーリズム大学」に理事として加わることにもなった。
グリーンツーリズムの素晴らしさ、楽しさをもっと多くの方に知って欲しいと願っている。そうした思いから出版したのが、「ハーブティーを飲みながら~北の大地のレシピ&エッセイ」(共同文化社)。お読み頂ければ、幸いである。