ウェブマガジン カムイミンタラ

2002年05月号/第110号  [ずいそう]    

突き付けられた現実 アフガン難民キャンプ最新情報
西村 拓夫 (にしむら たくお ・ ヒューマン・ライフ・プロジェクト・ジャパン[HLPJ]代表、岩見沢市西村歯科医院院長)

昨年12月と今年1月、3月の3回、パキスタンのアフガン難民キャンプへ行き、手荷物で1回につき50着前後の古着を手渡してきた。現場に出向き、じかに手渡すことで、いくつもの現実が見えてきた。支援物資がなぜ末端まで届きにくいのか。支援する側の責任もあると感じている。動物園でエサを配るのとは違う。また、NPOはサンタクロースじゃあない。

私は、現地で実際に買ったたった64枚の古い毛布をキャンプに持ち込み、自分で配ってみた。もちろんキャンプに入る許可、軽トラックの手配、通訳……、全部、自分で調達しなければならない。何をやるにも日本と勝手が違い、3倍以上は疲れる。だから疲れて面倒になると現地のスタッフ任せにしてしまいたくなる。すると彼らは自分たちの家族に配ってしまう。

トライバルエリア(部族自治区)に今年、新しくできたシャルマンキャンプは、ものすごい山の中にあり、切り立った崖のつづら折りの山道をいくつも下りて行った。ジープで2時間。木どころか草も全然生えていない恐ろしい岩山である。姥捨て山か火星の表面みたいな、しかも水もあまりないところ。

キャンプを訪問すると、生きること、最低限の生活をすることさえ、ままならぬ人々の切実さがダイレクトに伝わってきた。

今だに重いわだかまりを抱えたまま、「生きる」あるいは「生かされている」ということの衝撃から抜け出られないでいる。

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