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2003年01月号/第114号  [ずいそう]    

企業―NPOで福祉を築く
長谷川 聡 (はせがわ さとし ・ 北海道医療大学看護福祉学部助教授、NPO法人「飛んでけ!車いす」の会理事)

市民自身の手による福祉実践手法を研究している。もちろん研究室に閉じこもることなく、私自身も街へ出ていくつかの社会活動を行なっている。

NPO法人「飛んでけ!車いす」の会の一理事を務めている。中古車いすを回収整備して発展途上国に寄贈するのだが、輸送は海外旅行者のボランティアに委ねているのがこの会の事業である。

活動自体のもそうだが、NPO/NGO活動の方法論もそれなりにユニークだと自負している。学生と若い社会人中心の会務運営、それに地元企業との連携が注目されている。ある企業と私たちNPOの「連携・共働」が評価され、この夏共々に名古屋市のパートナーシップ・サポートセンターによる「第1回パートナーシップ大賞」を受賞した。

「飛んでけ!車いす」の会と企業との連携は寄附金目当ての一方通行の関係ではない。ある旅行業者は海外旅行先で車いすを届けるボランティアを顧客の中から募ってくれている。上記の運輸関連企業は業務の「ついで」に車いす輸送を無償で行なっている。また本会の紹介で同社の引越しや旅行などの商品を利用すると、その5%が本会への寄附となる自称「バックマージンシステム」を導入してくれた。このやり方に共感した別の旅行業者は同社のポイント還元システムをNPO支援に振替える検討に入り、私たちと「商談」を続けている。

理事として企業に寄附だけを期待するNPOになりたくないと心底思う。NPOと連携することで企業にも名誉以上のメリットがなければ駄目だ。企業とNPOの新しい関係が社会とそれぞれの組織に有益であることを示していきたいと思う。社会貢献活動が企業の成長と社員の幸福につながらなければならない。これが「民―民の福祉活動」として定着することを願っている。

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