ウェブマガジン カムイミンタラ

2003年01月号/第114号  [ずいそう]    

北海道の地名の源にかえる
黒柳 眞理 (くろやなぎ まり ・ エッセイスト)

北海道には「神の……」とつく地名がとても多い気がする。それだけこの地が、神と近いところにあるのではないだろうか。本州より緑が多い分、「気」が豊かであるとも感じる。厳しい冬でさえ、日本中の人が羨むような美味しい食材を生み出す栄養分になるのだから。

何十年も前、今のように飛行機で簡単に行き来できなかったこともあってだとは思うけれど「北海道はパスポートが必要なくらい、1つの国というか、外国のようだ」と、聞いたことがある。11年前に鎌倉から札幌に移り住んだ私は、今でも千歳に降りた途端にそう感じる。講演活動や、JR北海道の旅のナビゲーターのような仕事をさせていただいて、これまで訪れた場所は500カ所を越えているけれど、それはまだまだその魅力の一部分であろう。

「何か変わらなければいけないのに変われない北海道」とか、だいぶ以前のコピーで「試される大地」などと言われる。でも最近私は、つくづく考えるのである。“変わらないことに価値があるのよね!”。だから、この地に住めること、神の庭に住めることに、もっと感謝するべきなのだと……。

先日、東京に住む、滝川出身のもう95歳になる母(チョッちゃん)と電話で話した際、母が「でも12月になったら1月、2月、3月で、すぐ春よねー!」と言った。いよいよ雪が降り、やってくる長い冬に少し悲しくなっていた私は、思わず絶句! やはり人生の修羅場を幾度もくぐり抜けてきた人の発想はすごい。思わず笑ってしまって、本当にそう思えてきた。冬を悲しむ人達にもそう言ってあげると、皆、うれしそうになる。

発想の転換は、どんなに苦しい時でもそこを通り抜ける最高の方法だと信じる。厳しい冬はこの地を守る神の与えた素晴しい手段であると、私は常々、そう思っている。

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