ウェブマガジン カムイミンタラ

2003年01月号/第114号  [ずいそう]    

それでもコンサを応援したい
宗像 哲也 (むなかた てつや ・ 「月刊 コンサドーレ」編集長)

「サッカーの1点は野球の3点」というのが、スポーツ取材をしていての実感だ。サッカーの3点差は、野球でいえば9点。アマ野球ならコールドゲームになってしまう。実際、サッカーで3点差を付けられたゲームは、まず逆転できないことからも、この換算はほぼ正しいと言えると思う。

それだけ、サッカーは点数の入らないゲームだ。あらゆるスポーツの中でも最も点が入らないといっていい。スポーツ観戦の醍醐味がゴールシーンだとすると、サッカーは失格かもしれない。しかし、我慢してようやく点が入ったとき、喜びが一層大きくなる。

今シーズンのコンサドーレは勝てなかった。第1、第2ステージを通して30試合でわずか5勝。惜しい試合をことごとく、落としてしまった。とにかく点が取れない。最終戦を前に29試合で25点。1試合1点弱。さらに、試合終了間際の失点が多く、リードしていても逆転されてしまう。

J2陥落が早々と決まってしまったが、それでもコンサドーレの熱狂的なサポーターたちは我慢して、我慢して、最後までチームを応援し続けた。そのサポーターたちが11月30日、札幌ドームでの最終戦で歓喜に打ち震えた。今季開幕戦で大敗した広島が相手。1-1で後半に入り、逆転されたときは、「ああ、いつものパターンか」と早くも敗戦を覚悟した人が多かったであろうことは想像に難くない。

だが、この日は違った。生え抜きの若い選手たちが大活躍して、取られても、取られても、取り返す。何と、4-4の同点で延長に。4点といえば野球なら12点。今季の試合ぶりから見て、誰もが驚く大量点だ。さらに、今シーズンこれまで延長が9試合あって、1試合を引き分けた以外はすべて敗戦だったが、この試合では何と、5点目を決めてVゴール。延長で初めて勝ったのだ。

1試合で5点はチーム最多タイ。不振にあえいでいたチームが最後の最後に大爆発だ。ここまで耐えに耐えてきたサポーターたちは、最終戦で一気にうっ憤を晴らしたに違いない。我慢の果ての歓喜。これもまた、サッカー観戦の1つの楽しみだ。

来シーズンはJ2で戦うコンサドーレだが、目が離せない。ここ一番の爆発力があることを証明した最終戦のような戦いぶりを来季は1試合でも多く見せてほしいし、1人でも多くの道民が試合を観戦してほしい。「耐えて勝つ」サッカーの面白さを、ぜひスタジアムで体験しよう。

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