「白樺 青空 南風
こぶし咲く あの丘 北国の
ああ 北国の春」
千昌夫さんの大ヒット曲である。
漸く北国北海道にも本格的な春がやってきた。木々は芽吹き、草花は一斉に花を咲かす。1年で最も気持ちの良い季節の到来である。その情景を見事に詠み込んである。
シラカバは北海道の清々しいイメージを作りあげている。清楚な白い木肌。開葉時の目映いほどの緑。北海道の風景と切り離せないものである。
しかし、最近北海道ではそのシラカバによる花粉症が目立つようになってきた。シラカバは開葉とほぼ同時に開花し花粉を放出する。北国の春は花粉症の患者さんには辛い季節でもある。
このところ毎年春になるとマスコミで盛んに取り上げられるようになり、シラカバ花粉症もよく知られるようになった。しかし、スギ花粉症と比べて対策がだいぶ遅れている。北海道でどれくらい患者さんがいるかさえ定かではない。
日本ではスギ花粉症があまりにも有名なため、シラカバ花粉症は特殊なもののように感じられるが、世界的にはシラカバ花粉症はヨーロッパ北部やアメリカ北部などで昔からあり、汎世界的なもの。
花粉症の予防にはまず敵を知ること。最近北海道の主要な都市の花粉飛散状況がわかってきた。札幌ではシラカバ花粉は4月下旬から飛び始め、連休明けくらいに飛散のピークを迎え、6月初めまで飛んでいる。シラカバ花粉の飛散量の年次変動は大きい。北海道立衛生研究所のホームページ(http://www.iph.pref.hokkaido.jp)には、花粉症の原因となる主な花粉の飛散時期やシラカバ花粉の飛散状況が紹介されている。こちらも参考にしていただきたい。
花粉症の根治療法はまだ確立していない。しかし、最近良い薬が開発され、シラカバ花粉が飛散する前から治療を受ければ、飛散シーズン中も楽に過ごせるようになってきた。また、アレルゲンの少ないシラカバの開発を北海道立林業試験場で研究している。実現すれば、患者さんに朗報となる。
シラカバ花粉は風に乗って何十キロも何百キロも運ばれてくるので、家の近くのシラカバを伐採しても仕方がない。フィンランドではシラカバを「母なる樹」と呼んで敬っている。花粉症とうまく対処しつつ、北海道の景観を作る母なる樹シラカバと共に21世紀の北海道を育んで行こうではないか。