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2003年05月号/第116号  [ずいそう]    

北海道・女性医師たちの足跡をたどる
斯波 憲子 (しば のりこ ・ 日本女医会北海道支部 北海道女性医師史編纂刊行委員長)

憲法には男女平等がうたわれていますがまだ根づいているとはいえません。「医療」という、専門職で個人の能力が発揮でき、男女対等と思われる場でさえ、歴史的に振り返ると男女不平等の歴史を通っています。

北海道では日本の女医第1号である荻野(おぎの)吟子(ぎんこ)が瀬棚町で開業しました。吟子の波乱の人生だけでも興味深いのですが、彼女に続く本道で医療に関わった女性医師たちは、北海道という、本土からはるか隔絶された極寒の地で、開拓とそれに続く戦時の状況の下で何を考えて診療してきたのでしょうか。それらを知ることは現在の女性医師たちのみならず、働く女性たちにとって大きな励みとなり、真の意味での平等を確立する手がかりとなり、21世紀の女性問題の展望を見出すものと考えます。

私達、日本女医会北海道支部では、新札幌市史編集長である海保洋子先生や、北海道情報大学広瀬玲子教授などと共に、戦前に医師免許を取得して北海道で医療に携わった女性医師(ご家族)へのアンケート調査や聞き取り調査を行い、北海道女性医師史の編纂を企画しています。幸いにも北海道郡市医師会や郷土女性史研究家などのご協力を受け、興味深い事実が掘り起こされています。

3月末には「荻野吟子に続く女性医師たち」と題する市民向け講演会を開催しました。調査報告に引き続き、現在診療されている女性医師たちの体験談に、「現在私たちが知っている医療事情からは想像もつかないようなご苦労をされてきたと知り、大変感銘を受けました。女性であること、北海道という土地柄など、まさに開拓者精神を感じる生々しいお話でした。このようなリアルなお話をうかがうことのできる機会はあまりありませんので、本の編纂とともに、今後ともこのような会を設けていただけましたら、女医さんだけでなくさまざまな立場の人々に役だつことと存じます」などの声が寄せられております。皆様も発刊の暁にはどうぞご覧くださいますように。

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