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2003年07月号/第117号  [ずいそう]    

古書の世界に旅する『さっぽろの古本屋』発刊
石原 誠 (いしはら まこと ・ サッポロ堂書店)

札幌古書籍商組合は理事長(並樹書店・瀬木幸彦)の発案で、合同目録を発行。各方面から注目されている。組合員38店のうち、27店が参加、1万点を掲載してのアピールで好評を得ている。

最近の活字離れは猛威…。1950年代のテレビ時代から始まり現在はインターネット時代といわれる。きちんと読んで思考する「古(いにしえ)に旅する」時代は敗戦後生まれの私達から下降線をたどり、より厳しくなるようにも見える。

敗戦直後の46年、一誠堂・山野成之さんは「多い時は50人くらいが売りに来て、買った本は求める人が列をなしてすぐに売れた。今と違ってレジャーのない時代、何がなくとも本を買う意欲はあった」と語る(『彷書月刊』89年2月号)。

山野理事長編集発行の『札幌古書通信』(50年刊)が、今、私の手元にある。書物関係の読物も多く、16頁。53年前も大変な時代だったようで先人の先行する仕事に頭が下がった。「49年度は50店くらい、50年度は半数にも満たない加入者で、この時、既に50年の歴史」と記述しているので、札幌古書組合は百年余の歴史か。

21世紀、個性派集団の組合員が扱う古書も様々…。商いの仕方も店売、古書目録、即売会、インターネット等多様で、不景気のさなか善戦苦闘(?)している。北海道関係、マンガ、美術書、雑誌、レコード、山岳書、アイドル写真集、昆虫、映画、絵葉書、サブカルチャー、原稿他、各古本屋は個性的で特徴を持った品揃えに努力している。

北海道は書誌づくりが盛ん…。八木義徳、更科源蔵、中城ふみ子、知里真志保と、この17年間に4人の書誌が作られ、全国をリードしているかに見える。各人の原稿も多く、また、ほとんどが古書…。皆様方の御要望を受け、まだまだ古本屋の出番もあるのではと思っているのでお客様はどんどん気軽に近くの古本屋に声をかけていただきたい。お互い交流を深めたいと思う。

今回の合同目録『さっぽろの古本屋』(200円)は、冒頭に出久根達郎(作家)、神谷忠孝(北海道文学)、高木崇世芝(北海道古地図研究)三氏の好文章もあり評判です。ぜひ、ご一読を。

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