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2003年11月号/第119号  [ずいそう]    

エコ・シティ旭川の夢
太田原 高昭 (おおたはら たかあき ・ 北海学園大学教授)

旭川市の若手農業者(今では孫もいるが)が集まる「農業2世紀塾」や「農村婦人大学」と付き合いはじめてもう10年以上になる。私は札幌在住なので年に何回か旭川を訪れる程度のお付き合いであるが、彼ら、彼女らの創意とエネルギーあふれる活動ぶりにはいたく感心させられている。その1つに「旭川市民農業大学」というのがあるが、これは農業を知らない街の人が1年間毎月1回農家に入って農業体験をする「大学」だ。

机をはさんでの議論だけの「消費者との交流」の限界を感じた農業者側の発想であったが、毎年驚くほど多数の市民の応募があり、年によっては抽選となる。5~6人が班をつくって同じ農家に1年間通うシステムで、受け入れ農家も大変だと思うが、子供連れで農作業や農産物加工に取り組む市民の楽しそうな顔が元気の源になるらしく、受け入れ農家も年々増えてこの試みはまず成功といえる。事務局を務める旭川市農政部の頑張りも特筆ものだ。

すっかりはまって「留年」する人も少なからずいるが、もう6年続いているからかなりの数の卒業生を出したことになる。卒業しても時折お土産を持って農家を訪ね、野菜をもらって帰ったり、すっかり親戚づきあいになるケースも多い。そういう姿を見てあるメンバーがこう言った。「この大学を続けていくと旭川の街の人と村の人はみんな親戚になりますね」。

街と村が親戚付き合いで結ばれたエコ・シティ旭川! これはすばらしいビジョンになるのではないだろうか。そんな夢を持って私もこの付き合いを続けていきたい。それでこの春、勤めていた北海道大学を定年退職したのを機に、退職金をはたいて東旭川の雑木林の中に小さな山荘を建ててしまった。今のところなかなか時間がとれず週末だけの旭川暮らしだが、農家の人達と一緒に夢を追いかけていけたらと思っている。

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