医療紛争が増えています。私が医者になった20年前、弁護士になった7年前に比べても、新聞や雑誌に報じられる医療事故、医療過誤は倍増あるいは倍々増している印象です。実際に毎年提起される医療訴訟の件数も毎年400件から最近の8,900件とこの10年で倍増のペースで伸びています。
このような現況にありながら、医療トラブルに悩む患者さんや家族をサポートするインフラやシステムは一昔前に比べて、決して充実してきてはいません。医療訴訟は、他の事件に比べて複雑で、審理も長時間を要し、勝訴率も良くありません。弁護士は協力医師を求めるのに四苦八苦し、医療事件の相談を受けて資料を預かっても、検討して見通しを立てるのに非常に苦労をします。当地の弁護士会でも医療事件を長期間抱え込んだまま寝かしたとして弁護士が懲戒される事件も発生しています。
普通の事件の審理が通常半年、1年が平均だとすれば、医療事件の審理は2年、3年かかるのが普通です。原告(患者側)も被告(医療側)もうんざりという風景が見られます。
医療事件の勝訴率は、せいぜい3割、4割ですから、一般のお金を貸した返せとか、物を売買した引き渡せというような事件がほぼ8割の勝訴率が見込めるのに比べれば、なかなか提訴する決断もつかないのです。
そんな難しい状況でも、必死で医療訴訟にチャレンジしたいという人々がいます。私のHPを見たといって遠隔地からサポートを求められたりすると、このようなマイナス思考も吹き飛んで何とか工夫は出来ないものかとこちらも必死になったりします。一度わがHPにお寄りいただければ幸いです。
(http://www.aurora-net.or.jp/~dns05127/ 「医療と法律の談話室」)