日本でもめずらしいケースで、公設劇場を民間が運営して4年経過した。
演目、魅力あるアーティスト、集客力、収支のバランスなどを満たしてくれるチャンスはあまり無いものだ。
新進気鋭の演劇人に会うのを楽しみにしている。4年前、永六輔さんが講談師の神田山陽さんをご紹介して下さった(その頃はまだあまり知られていなかった)。いまどき講談?と思いつつ、まず聴きに行ってきた。ゴムマリのように飛び跳ねる神田さん。目から鱗、これはいけると独演会を決めた。それ以来富良野で6回を重ね、しっかり地元にファンがついた。
今回神田さんが「いい浪曲師がいる」と紹介して下さったのが、国本武春さんである。以前わたしは一度、国本さんのステージを見たことがあった。浪曲の概念を覆す強烈な印象で、ジャズを思わせる弾き語りは若者にも受けるだろうと感じた。彼は「来月から三味線を持ってニューヨークで勉強してきます」と言っていた。なんと2004年9月に神田さんが連れてきたのは、ニューヨークから帰ってきた国本武春さんだった。
これはもう「赤い糸」だと、即、日程調整に入った。「浪曲と講談の二人会」今時ちょっと渋すぎるのでは・・・という陰の声を聞きながらも12月に決行。
いよいよ当日。ミュージシャンでもあり、役者もやっている異色浪曲師は、三味線を弾きながら強烈にうなりだした。唖然としている観客に「皆さん、ぼくをもっとのせてください」「では正しい浪曲の聞き方」と称して掛け声のかけ方を指導する。
おなかがよじれるほど笑いながら、客席からだんだん大きな掛け声がかかりだした。艶と張りのある声で「忠臣蔵」を語り、うなった。水を打ったように静まりかえった場内のあちこちから、鼻をすする音。そして立ち上がっての拍手。すっかりはまってしまったのである。「いやー良かった、また呼んで」「ありがとう」とお客様の声。至福の時である。
では浪曲の3大掛け声「待ってました!」「たっぷり!」「日本一!」。
さあ皆さんもご一緒に・・・。