還暦も近く、人生の大きな節目を感じると、つい、昔はと懐かしむことが多くなる。懐かしみの中に、修学旅行がよくでてくる。札幌南高校第14期の同期会(昭和39年卒)は、当番幹事を各クラスが持ちまわり、これまでは2年に1度開催されてきた。
昨年、どこで何をやろうかという企画の時に、修学旅行の話がでた。何を京都で修学してきたかという真面目な記憶、夜汽車の中で通路に新聞紙を敷いて寝たという記憶、土産は何であったという記憶などなど、それぞれの想い出が蘇っていた。こうして、卒業40年をむかえた同期会を京都への修学旅行と名付けて実行することになった。同期会を本州で開催することは初めてであり、修学(?)の内容、観光、ホテルも全て、ツアーを企画・運営する同期のいる会社におまかせすることになった。
60名近くの同期が2004年10月10日、台風一過の晴天に恵まれた暑い京都に集まった。醍醐寺に参拝。ぼんやりと深遠な庭を見ていると、世俗の事象を忘れ、悠久の昔と変わらない奈良時代の漂いと風情を肌で感じた。三宝院の座敷では観世流の能を鑑賞した。眼前での謡・鼓・舞は迫力があり、体力がないとできないなと妙なところで感心をした。
能の鑑賞の後は世俗に戻り、懇親会で「誰だっけ」などと旧交を深め、再会を懐かしんだ。同期の一人が、1962(昭和37)年の修学旅行に学校から配布されたプリントを保管していた。生徒500名、付添いは先生10名、他職員、医師、看護婦、費用11,000円、日程は11泊(そのうち車中泊5日)12日、修学場所、宿泊先も書かれた詳細なものである。懇親会でそれを見て、「こんなすごい日程!?」と往時の出来事を夢のように思い出した。
懇親会では、多感な高校時代を共にした想い出は尽きることなく、限りある時間が惜しまれた。盛り上がったところで、肩を組み、校歌を合唱した。校歌を合唱していると、木造の校舎での日々が想い出され、卒業アルバムの中の若々しい同期たちがそこにいた。41年ぶりの修学旅行を成功裡に終えたいま、2004年の当番幹事としてホッとしている。