ウェブマガジン カムイミンタラ

2005年05月号/ウェブマガジン第3号 (通巻123号)  [ずいそう]    

「全国制覇」の夢と感動をありがとう
梶川 昇 (かじかわのぼる ・ 「深紅の会」会長)

伸  版画:宝賀寿子
伸  版画:宝賀寿子

昨年夏の甲子園出場にはほんとうに多くの皆様に熱いご支援とご協力をいただき、高校球児の憧れ、夢の「深紅の旗」を勝ち取ることができた。「深紅の会」の代表として、心よりお礼申しあげます。

 深紅の大優勝旗を北海道の地へ持ってくる監督になれ!。「深紅の会」は、駒澤大学附属苫小牧高等学校野球部の香田誉士史(こうだ よしふみ)監督を支える会として、1999年(平成11)、野球部卒業生の父母たちが結成した会である。

 ふり返れば、「行くぞ!! 甲子園」から始まり、「勝利への執念!! 全国制覇」と書いた横断幕をバックネットにかかげ、地区大会敗退を何度も味わいながら、まず全道大会に出場。そして「甲子園出場を」の思いで、監督と選手たちは日々厳しい練習に励んでいた。

しかし、大学を卒業し、高校野球への熱い思いを胸に、夢と希望をもって遠く北海道の地にやって来た九州佐賀県出身の若き香田監督に、大きな壁が立ち塞がっていた時でもあった。

それから5年、今や50名を超えるこの会に、香田監督は家族ぐるみで出席し、メンバーの熱い想いを受けて「これからも頑張ります」と笑顔で父母たちと親睦を深めるまでになった。そして2004年、駒大苫小牧野球部は、ついに地区大会を勝ち抜いて甲子園出場を手にし、それからの高校球児たちの快進撃、北海道初の全国制覇は、まさに夢のようだった。

「10年前の苦労の時、九州に帰らなくて良かったな」「こんなことが待っていたんだな」。香田監督とは、そんな苦労話をしながら喜びあった。

全国制覇をとげた昨夏、私にとって一番の思い出に残るシーンがある。甲子園出発の前日、私は練習中の佐々木孝介(ささき こうすけ)主将を呼び、「監督を男にしてやってくれ!! 君たちならできる」と、期待の気持ちと強い願いを伝えた。そして、あの大優勝旗を手にして帰ってきた佐々木主将は、私を見つけると爽やかな笑顔で、「行く前に約束したことをみんなに伝えて頑張りました」と手を差し出した。「良かったなあ、おめでとう」。二人にしか分からない、堅い握手だった。

ふたたびめぐってくる夏を前に、今も「ほんとうに感動をありがとう。夢が現実になる瞬間を見せてくれて、ありがとう」と選手たちへの感謝の言葉が浮かんでくる。そして、これからも驕ることなく、駒大苫小牧野球部がさらなる挑戦者として大輪の花を咲かせることができるよう、香田野球を支え続けていきたいと思う。

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