ウェブマガジン カムイミンタラ

2005年09月号/ウェブマガジン第5号 (通巻125号)  [ずいそう]    

北海道、観光に行くとき何着てく?
吉田 聡子 (よしださとこ ・ 株式会社桐光クリエイティブ代表取締役)

麦酒の好きなとり 版画:宝賀寿子
麦酒の好きなとり 版画:宝賀寿子

「これきてドットコム」。“北海道、観光に行くとき何着てく?”という疑問に答えるためのWebサイトだ。毎日携帯で撮影した「北海道の今日の服装」が発信され、掲示板では全国から寄せられる北海道観光の服装の疑問に道民が答えるという非常にシンプルなサイトだが、去年11月にオープンし今年の雪まつりシーズンには1日数万件のアクセスが殺到して一時はサーバがダウンしてしまうほどの人気となった。春、夏と季節が変わっても1日1000件近いアクセスを保ち続けている。

サイトのきっかけは経営者の仲間が集まったときの何気ない会話だった。「旅行に行くとき何が困る?」「そりゃあ、着るものでしょ!女性は旅が決まったらすぐ、『何着て行こう?』と思うものよ!」。事実、私は出張や旅行が決まると同時にインターネットで現地の天気を調べまくる。そこでふと気が付いた。寒いところから暑いところに行くのでもこんなに悩む。だったら極寒の冬を知らない人たちが冬の北海道に来るときってどんなに不安で心配だろう。そんな話の中からスタートしたのがこの「これきてドットコム」だった。

企画や映像制作を行う当社とIT企業、ITコーディネーターなど4社の経営者が集まって自分たちでできることを手弁当でやってしまおう!と始めた。

意外にも、『洋服』に特化した観光情報サイトは他になく、あれよあれよという間に「人気観光サイト」と呼ばれるようになったが、実は私自身は、これきてドットコムは単なる観光情報サイトではなく「マッチングサイト」あるいは「マーケティングサイト」だと思っている。これきてドットコムの最大の特異性は『北海道に近々必ず行く人』が見るサイトだということ。なぜなら洋服を選ぶのは普通、旅行が決定した後だから。実は非常に有効なターゲットが、これきてドットコムには集まっているのである。「何着てく?」という誰もが必ず持つ、小さいけれど必須のニーズに徹底的に応え、北海道に来る観光客が必ず通るゲートに育て、そこで北海道観光への真のニーズを探り出して北海道企業とマッチングさせる。これが私の理想である。

北海道を真の観光王国に育てるにはあらゆる業種の企業が観光との接点を見出し、自分のビジネスとして主体的に観光に関わることだと思う。北海道を訪れて、たとえホテルが一流だったとしても、街に出かけたとき、スーパーに立ち寄ったとき、ガソリンを入れたとき、病院に行ったとき、そこでの対応がイマイチだったら、それは観光王国ではない、と思う。見方を変えれば観光といっても実は暮らしの一部。生活する場所が一時期北海道に変わるだけ。そう考えると、どんな産業にも観光と接点を持つ可能性が見えてくるのではないか。その一つのきっかけにこのサイトが活用されればとても嬉しいと思う。

・・・と硬い話になってしまったが、根本は「喜んでくれると嬉しい」という気持ちが原点。掲示板で服装のアドバイスをしてあげると、「助かりました、ありがとう!初めての北海道、楽しみに行きますね!」などという答えが返ってくるのが嬉しくて、またいそいそとサイトにアクセスするのでした。皆様もどうぞ一度、collekite.comにアクセスしてみてくださいね!

関連リンクこれきてドットコム  http://collekite.com/

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