ウェブマガジン カムイミンタラ

2006年01月号/ウェブマガジン第7号 (通巻127号)  [ずいそう]    

スキーと私 -100歳を迎えて-
斉藤 昌敏

サトイモ家族 版画:宝賀寿子
サトイモ家族 版画:宝賀寿子
(原稿)

私は、いわゆる「スキーヤー」と称されるほどのスキーの経験者ではありません。ただ言えることは、「スキーが大好きだ」ということです。

スキーは若いときからやっておりましたが、単に交際する人のお相手ができる程度の技量があればよいとして、適当にやっておりました。

スキーに本格的に興味をもち始めたのは、60歳代の後半からでした。すでに老境に入り、スキーを自由に操作できない時期になっていましたが、それなりに懸命にスキーの勉強をしました。

このたび100歳になりましたが、この年齢でスキーをやっている人は寡聞ですが極めて少ないことを知りました。そこで、狭いながらも100歳のスキー経験の一端を僭越ながら述べてみます。

私は1905年(明治38)に生まれました。昨年11月で満100歳の誕生日を迎え、人生の大きな節目がついにやってきた感じです。まだ元気です。ただいまのところ身体の調子は順調に推移しており、今シーズンも昨年並みにスキーの醍醐味を味わうことができそうで、楽しみにしております。

昨年のスキーシーズンは札幌市内の藻岩山スキー場に60日間通いました。朝9時に札幌市西区山の手の自宅を出発し、帰宅は午後3時半でした。この6時間30分の中身は次のとおりです。

自宅とスキー場の往復時間(バス・地下鉄利用)  3時間
スキー操作時間  2時間
昼食、休憩時間  1時間30分
計  6時間30分

このように、日中の大半をスキーのために費やしていることになりますが、これだけの時間の運動量を消化する体力は、ふつう年寄りにとっては容易なことではないと思われます。しかし、日頃の鍛練で鍛えた私の身体は頑丈で、まったく疲れ知らずに難なくこの運動量を消化してくれました。

年間の身体の鍛練は次のとおり実施しました。
 (1)スキーシーズン中の鍛練(12月~3月間)
  スキーの操作を行うこと自体が、体の鍛練。
 (2)スキーシーズン外の時期の鍛練(4月~11月間)
  毎朝、食事前にラジオ体操と約1時間のジョギングとウォーキング。

この鍛練を私は40年間習慣として継続してきました。その結果、頑丈な強い体をつくることができました。

鍛練を継続して実行するには、朝のジョギングの第一歩が決め手です。肩の力を抜き、ゆったりと落ち着いた気分でスピードを抑えて軽く第一歩を踏み出すことです。そのあとは体が自然に動いてくれます。

顧みれば、私の人生の後半の大部分は、スキーと密着した生活でした。スキーを楽しみながら、長い間休むことなく体を鍛えてきましたが、100歳を迎えた現在の私は、スキーで鍛えた体のおかげで健康で明るく楽しい日をおくっています。

私より年齢の低いお年寄りが腰痛膝痛などで苦しんでいる様子を目の当たりにしていると痛ましく、私のようにスキーを楽しみながら体を鍛えたらよいのに、とつくづく思います。

◎このずいそうを読んで心に感じたら、右のボタンをおしてください    ←前に戻る  ←トップへ戻る  上へ▲
リンクメッセージヘルプ

(C) 2005-2010 Rinyu Kanko All rights reserved.   http://kamuimintara.net