1年半ぶりに、松本のリンゴ畑の近くで暮らす娘家族を訪ねました。
出来ちゃった結婚後、娘夫婦の船はすぐに暗礁に乗り上げ、沈没寸前。なんとかしなければと横浜から、頼る人が誰もいない松本に移り住み、苦節10年。なんとこの春、互いの生まれ育ちの厚い壁が溶け、夫婦の心が繋がったという記念の訪問でした。
婿さんは、慣れない青果市場での仕事ながら奮闘したおかげで家まで建ち、夫婦の仲が結び直されたところで力尽き、ただいま失業中。ほんとうにご苦労様でした。
彼と一緒に過ごせる時間がこんなにあるなんて嬉しい嬉しいと、34歳の娘は将来の不安に怯える気持ちもなく、毎日を明るく平和に過ごしている様子。舅姑の私たちも、もともと誠実・健康・お人好しなうえに働き者という私たちのお目にかなった婿さんですから心配する必要もなく、エネルギーが蘇る時を静かに見守っているところです。
そのリンゴ畑を登った先に、松本平と遥かに南アルプスを見渡せるホテルの露天風呂があります。
「どちらからですかあ」「ニューヨークから」「あら、まあ、遠いところからあ」「いい所ねえここは。この大自然に抱かれて娘夫婦が仲良くなれたの、有り難いわあ」。
「ニューヨークに渡ってまだ3年目くらいだったかしら。日本人のおじいさんがね、アパートに来て、みそ汁を作ってくれる人を探しているって言うんです。あの時の私はわからなかったの、その人の気持ち。でも今ならわかる、今ならわかるのよ、どういうお気持ちだったのかが…。心を込めて温かいおみそ汁…作らせていただけるわ、今ならねえ」。
30年間、ニューヨークを共に生きた夫とふたりでHPを作りました。どうぞお気軽に一度お立ち寄りください。