ウェブマガジン カムイミンタラ

2008年05月号/ウェブマガジン第21号 (通巻141号)  [ずいそう]    

ちょっとそこまで‥起業しに
吉田 真弓 (よしだ まゆみ ・ 帯広市図書館館長)

「遅咲」<br>版画:宝賀寿子
「遅咲」
版画:宝賀寿子

「ちょっと図書館に行ってくるよ」という言葉からどんな行動をイメージしますか? 本を借りに? 返しに? 受験勉強? 図書館に勤めている? いえいえ、最近の図書館は違っています。

出店の基礎資料となる特定地域のマーケティング調査、製品開発に使用する国産品の安定確保の可否、起業をするための情報、輸入食品について、他社のCSR(企業の社会的責任)について、などなど‥。係の専門職員に寄せられる相談も、新店舗のネーミングから、弁護士情報、就業規則の作り方など様々です。

ビジネス支援と銘打ったこれらの相談業務や情報提供は、図書館内に置かれた商工会議所、中小企業庁、国民金融公庫、国税庁、はまなす財団などの各種パンフレットや求人誌、市の融資制度紹介リーフレットに併せ開館当初から比べ3倍の1,900冊になったコーナー専用図書が引きもきらず利用されることから、求められていたサービスであったことを裏付けています。

最近、新たに開店した飲食店の挨拶状をいただきました。わざわざご持参下さったその方の店のメニューは、図書館から借りた本からもらったアイデアが多いのだとか。嬉しいお言葉でした。

駅前に道内三番目の大きさの図書館が開館してから2年が経過、少数の本好きの集まる所としか思われていなかった〈図書館という空間〉に100万人が来館し、駅周辺の通行量は平日で15%、休日には23%増加しました。

一日2,000人を超える市民が訪れ、雑誌を読み、新聞を読み、インターネットから情報を取得し、明日の仕事を考え、講座に参加し、それぞれの心を豊かにしながら思い思いの時間をすごす。それが今の図書館です。それは帯広ばかりではないはず、図書館は本を借りるだけの所と思っていらっしゃった方、随分損をしましたね。よろしければ、明日にでも貴方の街の図書館に「ちょっと行って」みてください。きっと新しい発見があるはずです。

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