ウェブマガジン カムイミンタラ

2008年05月号/ウェブマガジン第21号 (通巻141号)  [ずいそう]    

小樽雪あかりの路―地上のホシゾラ―
山口 保 (やまぐち たもつ ・ 小樽雪あかりの路副実行委員長)

「遅咲」<br>版画:宝賀寿子
「遅咲」
版画:宝賀寿子

20世紀の終わり、1999年(平成11)に始まった小樽の冬の風物詩「小樽雪あかりの路」も今年で10年を迎えた。
 多くの市民やこの街に思いを寄せていただく市外や海外からのボランティアの皆さんに支えられて、今年も57万人を超えるお客様に来ていただいた。

厳寒の2月、10日間にわたり、18万本ものろうそくの灯りが、小樽運河や市街地と海を横に貫く旧国鉄手宮線跡地を主会場として街中に灯されつづける。
 運河の水面には400個ものガラスの浮き玉にろうそくが入れられ、さながら水辺に浮かぶ星空の様だ。
 そして、北海道開拓の礎となった、日本で3番目に敷かれた鉄道――旧国鉄手宮線跡地では、白い雪の器の中に無数のろうそくが灯され、白い雪はろうそくの灯りでオレンジ色に輝き続ける。さながら、路地裏の銀河鉄道のように。

雪の日も風の日も消えては灯され続ける、ろうそくのほのかな灯り。私達の「雪あかりの路」は、そうした一つ一つの灯りを通して私たち自身や来ていただく多くの人々の心に語りかける「祭」であり続けたいと願う。

「寒い中、大変ですね」と声をかけていただけるのが何よりうれしい。「感激しました。また来年も来ます」そうした声に励まされて、毎日欠かさず作業に参加される高齢のボランティアの皆さん。連日、勤めを終えてからも参加される皆さん。わざわざ休みを取って遠くから参加される皆さん。そして、遠く海外から自費で毎年参加される多くの若者たち。本当にご苦労様でした。

また、回を重ねる毎、街中に「雪あかりの路」が拡がっていくことが何よりうれしい。家々の庭先に、学校や幼稚園の校庭に、病院や施設の庭に、地区の町会の児童公園や路地に、商店の店先に、つぎつぎと灯りがともされていく。ほのぼのとした光景が街を包んでいる。
 満天の星を見上げた感激を、空き地でたき火を囲んだあったかさと優しさを、みんな思い起こしながら・・・。

「小樽雪あかりの路」は、そんな皆さんに支えられながら、これからも素朴で、もの静かで、いつの間にか人々の心をつなぐ様な、そんな祭りであり続けたいと願う。

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