ウェブマガジン カムイミンタラ

2009年01月号/ウェブマガジン第25号 (通巻145号)  [ずいそう]    

さあ若者よ、旅に出よう
上山 雄司 (かみやま ゆうじ ・ 北海道ユースホステル協会 理事長)

「ウシシ」<br>版画:宝賀寿子
「ウシシ」
版画:宝賀寿子

新しい年を迎えた。いつものことだが、今年もたくさんの若者でユースホステルが賑わうことと、良い年であってほしいと願い、希望をもっての一年のスタートとなるのだが、今年はずいぶん様子が違うように思う。昨年の後半からの世界的な経済の後退が、ずっしりと重く地球をとりまいている。

今年は、旅を通して青少年の健全育成を図ることを目的とした、ユースホステル運動がドイツで生まれて100年を迎える。私たち関係者にとって記念すべき年であり、各国で記念事業を企画し、祝賀ムードで運動を盛り上げようとしている矢先である。
 日本では記念切手の発行、記念ホステリング(ユースホステルを利用する旅)などを企画し、多くの青少年を迎える準備をしているところであり、どの程度われわれユースホステルの世界に影響を及ぼすのか、不安の中でのスタートとなった。一日も速い景気の回復を願うばかりである。

昨年末に、ある大学の100人ほどの学生にユースホステルと旅について聞く機会があった。
 今後のユースホステル運動を推進するうえでの参考意見をたくさんいただいたのだが、肝心の大学生の皆さんが旅をしていないという現実もよくわかった。旅をしてみたいという願望はありながら、金と暇がないというのだ。

私たちは金がないながらも、けっこう貧乏旅行を楽しみ、その中でかけがえのない体験と多くの友人を得た。金はなくとも暇はあったように思う。その意味では今の若者は気の毒としか言いようがない。

昔から「かわいい子には旅をさせよ」という。素晴らしい旅は人生をも変える、ということを多くの人々が実感していることである。
 どのような時代であっても、若者には旅をしてほしい。できれば一人旅が良い。孤独な旅ほど得るものが多いから。そしてその土地の文化、歴史、自然に触れ、その土地の人、旅人同士の心の触れあいが計り知れないほどの財産となるのだから。

さあ若者よ、今年は少しの金と暇をつくって旅に出てみよう。人生をも変えるような素晴らしい旅に。ユースホステルはそんな旅人を応援しています。

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