私は、1978年(昭和53)に現在の住職に嫁ぎ、3人の子どもの母親になりました。1990年から1994年(平成2~6)にかけて総本山である京都の知恩院と大本山の東京・僧上寺で修行し、現在は善光寺副住職として従事しております。
この地は伊達亘理藩が入植し地名を「伊達」と名付けられましたが、気候がとても良いので「北の湘南」とも言われております。特に善光寺のある伊達市有珠町は道内の中でも気候が良く、山の幸・海の幸などに恵まれた所でもあります。
私の住む有珠の善光寺は、1804年(文化元年)、今より205年前に徳川幕府によって江戸の芝増上寺の末寺として建立された浄土宗の寺で、様似町の等じゅ院、厚岸町の国泰寺と並び蝦夷三官寺のひとつです。
善光寺の境内一帯は、江戸時代後期に歴史的な役割を果たした寺院として重要であり、本堂は江戸時代の2度の有珠山噴火からも難を逃れてほぼ原型をとどめていて、江戸時代のたたずまいを今日に伝えるという理由で、1974年(昭和49)に国の史跡に指定されました。
善光寺の境内には数多くの桜の木があります。特に石の割れ目から芽を出し根を張った北海道には稀な「石割桜」があり、5月の中頃には見事な花を咲かせてくれます。その他にも皮一枚のオンコの枯木に山桜の種が飛んで来て育った桜の木など様々な木が見られます。このような木の生命力を見ますと、不思議な生命力を感じ、私ども人間もあやかりたいものと思います。
北海道の寺のほとんどは歴史が浅いのですが、善光寺は徳川家とのかかわりや当時の朝廷とのかかわりで古い物が多く、釈迦如来大仏や円空作の観音像、徳川幕府より寄贈された一切経経典の一部など、北海道の文化財2点や国の重要文化財62点などを含む200点余りがあります。
現在、国の補助金をいただいて保管展示する建物の建て替えをしている途中です。2011年(平成23)の春には「善光寺宝物館」と名前を変え、開館できると思います。
今年も桜の季節がめぐってまいりました。この美しい季節はもちろんのこと、古い文化も感じていただけたらと思います。ぜひ一度お立ち寄りください。