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1987年01月号/第18号  [ずいそう]    

探検ドライブ
東庄 美恵子 (とうしょう みえこ ・ 主婦)

石狩大橋が完成して渡船がなくなるという最後の日、雪のちらつくころだったと思うが、何としてもそれに乗ってみたくて出かけた。川向こうに用があるわけではないので船に乗って向こうへ渡り、降りないで戻って来るだけである。この前は車ごと渡ったけれど、この時はすでに人しか乗せていなかった。寒い夕方、乗客はわれわれ3人と4、5人の高校生、帰りはわれわれだけ。そして翌日から渡船は廃止された。

それ以来、トンネルが出来ると行ってみる。高速道路が完成すると、ソレッとばかり出かける。全道一の長さのトンネルが次々完成し、そのたびに万難を排して、茂津多、狩場、そして浮島トンネルと走った。せっかくはるばる来たのだからと、2、3回往復する。つまり目的はこれで終わる。さて、これからどうしようかということになり、滝の上まで行って芝桜を見ようと再び走り出す。ちょっと早すぎてこの時は見られず、10日ほどたって今度は芝桜を見るためにまた出かける。計画性がないから、なにごとも一度では終わらない。できるだけ同じ道を通らないよう遠回りしたり、山越えのデコボコ道を走ったりする。「今度ここが舗装されたら、また来なくちゃ」となる。わが家ではこれを「探検ドライブ」といって、発作的に出かける。

先日も新聞で見た短歌で、泊原発にもしものことがあったら逃げる道として当丸峠が舗装されたというのがあり、行ってみた。前はずいぶん寂しい道だったけれど、峠は多くの車でにぎわっており、もしもの時はこの道を逃げれば安全なのかと、ボンヤリ考えたりもした。

一方、こんな美しい名前の道もある。『観月国道』――添牛内から苫前へ霧立峠を越えて行く道である。小雨の中を通ったことはあるが、こんどは秋の夕暮れに行ってみたい。ここから見る月は、きっと美しいのでは――と思っている。

美しいといえば、日本一といわれる旭岳の紅葉。そして夕張川にかかる雨霧橋から眺める紅葉も、私をドキドキさせる。雪のサロマ湖、網走湖もすばらしい。朝里峠は現在ダム工事中だが、今から完成するのを楽しみにしている。

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