最近まで、北海道大学には人類学・考古学の講座がなかったので、これらの学科の研究は、他の大学に比べれば、やや遅かったようである。しかしながら、その基礎となった研究は、有識者によって行なわれていたようである。
すなわち、人類学については医学部の児玉作左衛門教授が、また考古学については河野広道博士、北大植物園の名取武光氏の活躍があった。
その後、昭和22年、東大によってモヨロ貝塚の発掘が行なわれたのを機会に、それまでひそかに研究していた人びとは、調査を見学し、自信をもつことができるようになったが、また同時に一般の人びとの埋蔵文化財に対する考え方がはっきりしてきて、遺跡・遺物の大切さがわかってきたのである。
そして幸いにも、北海道にはまだまだ数多くの遺跡・遺物が埋蔵していることが明らかになった。したがって、若い研究者にとっては、一種の天国であるといえよう。今後、慎重に研究を重ねて、大きな成果を得るよう望むものである。