ウェブマガジン カムイミンタラ

1988年05月号/第26号  [ずいそう]    

留学生との1日
阿部 三恵 (あべ みえ ・ 北海道国際婦人協会会長)

その部屋は、とても華やいだ雰囲気につつまれていた。札幌に住んでいる外国からの留学生のかたたちを、私どもの会の新年会に招待した日のことである。

色鮮かな振り袖を着せてもらったアメリカ、カナダ、中国、その他世界のいろいろな国の留学生。そして男性用の着物を着せてもらっている男の留学生。

みんな初めて着る日本の着物で、少々はしゃいでいた。着物はすべて会員が持ちより、着付け役の会員がつぎつぎに、留学生に着物を着せ、帯を締めた。カメラ係の会員は、シャッターをきるのに忙しい。住所を聞いて写真を送る約束をする。

「日本に来て、望んでいた日本の美しい着物を着られたことは、本当にうれしい。送ってもらった写真は、本国の両親に送ります」

何人かの留学生たちは、このように言っていた。

そのほか、お茶、百人一首、カルタ、書道など、それぞれの部屋に分かれて日本文化を楽しんでもらう。

日本の抹茶は初めて、というオーストラリアの女性、日本の文字をよく知っていてカルタに興じるアメリカの男性、見事な漢字をすらすらと書いて署名も鮮かな中国の留学生。会場の北方圏センターの、どの会議室もフロアーも、170人ほどの留学生と会員であふれた。温かな心のかよった交流の場となった。

昭和50年、会が発足して以来、毎年このようにして外国人との交流が行われ、この3、4年は特に留学生との交流に力を入れている。来年の新年会は、世界のあらゆる国々の文化を私どもにも教えてもらうという意味で、相互交流を行いたいものと考えている。

アジアの、アフリカの、ヨーロッパの、そして世界のあらゆる国々の留学生との交わりをより深く、より強くしていきたいものである。草の根の国際ボランティア活動は、私ども自らの心の豊さをはぐくむ、ひとつの道であることを感じている。

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