ウェブマガジン カムイミンタラ

1988年09月号/第28号  [ずいそう]    

雑草雑談
丸山 博子 (まるやま ひろこ ・ さっぽろ野の花の会会員)

暑い日差しをうけて、どうやら植物たちは背丈をのばしきったようだ。

公園や空地にはアレチノマツヨイグサやセイタカアワダチソウが茂った草むらの頭に黄色い花をのせていたり、庭や畑にも、植えたはずのない植物がわがもの顔で葉を広げていたりするのを見つける。そして、これらの草は邪魔者と、ただちに除かれてしまうのが常である。ごっそりと刈りとられた雑草がゴミ収集ステーションに積まれているのを見ると、なんとなく「もったいない」と感じてしまう。

なぜなら、これらの雑草を使って結構いろいろ楽しめることがあるからだ。

「ハコベって、おいしいんですよね」なんてうっかり発言すると、奇異の眼で見られることもあるが、ほんとうにおいしいのだから仕方がない。ハコベのほかに、ツユクサのおひたし、アカツメクサの花の天ぷらなどはだれにでもお勧めできる。セイヨウタンポポがもともとはサラダの材料として輸入されたものだと知ればびっくりするだろうし、それなら食べてみようかという気もおきてくる。根からつくるタンポポコーヒーもいける。このほかにも食べておいしいものがたくさんある。

食べるのはちょっとという方は、草木染めはどうだろうか。タンポポ色のハンカチとか、毛糸を染めてマフラーなんかを編むのも楽しい。ススキやアワダチソウからも鮮やかな黄色が染まる。雑草だって、その花は意外にかわいらしい。生で飾ったり、押し花にしたり。ちょっと変わったところでは、冬のあいだの野鳥の餌に保管しておくこと。種になったアカザやヨモギの穂を干しておき、餌台に置いてやるとたくさんの鳥たちが集まってくる。

有害なものときめつけられがちな雑草も少し視点をかえて見れば、有効利用が可能であるし、そのうえ、そんな小さな自然が私たちの心を豊かにしてくれている要素のひとつだということにも気づかせてくれるとしたら、それはかけがいのない存在になるだろう。

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