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1990年03月号/第37号  [ずいそう]    

「手づくり絵本」の心
松岡 義和 (まつおか よしかず ・ 北見手づくり絵本の会会長)

「手づくり絵本って、どんな本ですか?」と、よく聞かれることが多いのですが、今はこう答えることにしています。

「だれかが、だれかのために、一心にやさしさと愛をこめてつくった世界にたった1冊の絵本」であると…。

はじめからこんな定義をもっていたわけではありませんが、北見市を中心に12年間の活動をつづけるなかで、こんないい方ができるようになりました。

その手づくり絵本の会が発足したのは、昭和53年3月のことです。

人の噂には北見で絵本をつくっている保母さんがいることや、娘や孫のためにこつこつと絵本を描いている人たちがいることは聞いていました。

それで、いちどお互いに絵本を持ち寄って、見せあったり交流会をもったりしてみようということで、第1回の「手づくり絵本展」を開催したのがきっかけでした。なんと、80冊の絵本が出品されたのです。人知れず、こんなにもたくさんの人たちが、絵本を愛し、絵本に親しみ、その喜びを自分のいちばん大切な人とともに分かちあっていることに心をうたれました。

毎年、3月と10月には絵本展を開こうということで「北見・手づくり絵本展」が発足しました。それから12年、ただの一度も休むことなく絵本展をつづけてきました。今年の3月には第25回の手づくり絵本展が開かれます。

多いときには400点もの絵本が出品されます。それは、私たちスタッフが、この12年間、全道各地で、たんねんに啓蒙のための講習会を開いてきたからです。

私たちは、この活動の中から自分たちのセンター的な建物の必要を強く感じました。5年前、国鉄解体にともなって緋牛内駅の鉄道官舎をわずか2900円で払い下げを受け、素人ばかりで解体作業をし、「手づくり絵本美術館」を総工費200万円で完成させました。

そのためには実に85人もの人たちが、善意で協力してくれました。「人間って、やっぱり善なのだ」と、今、子どもたちに自信をもっていうことができます。

「手づくり絵本」もまた、出来栄えではなく、大切なのは心の問題だと思います。

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