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1991年03月号/第43号  [ずいそう]    

道内を旅して歩いてガラスを吹く
淺原 千代治 (あさはら ちよじ ・ ガラス工芸作家)

12度目の冬を迎えた。

早いもので、大阪から小樽へ移り12年目になる。自然が豊富な北海道に憧れ、そこで作品制作をしたいと考え、場所探しを始めたのがもう15年も前になる。小樽には、海があり、山があり、歴史がある。それに、街には文化の香りが漂っている。

しかし、そうかといって霞を食べて生きていく術は知らない。造った作品を買っていただく方たちが必要である。幸い、小樽は札幌という都市からも近いということもあり、この街に決めた。

小樽へ移り住み、落ち着いたころから道内をよく旅している。展覧会で釧路に行き、戻るときに寄り道をするのである。函館での展覧会のときもそうである。だから、車で出かけるのがいい。

作品依頼があると出かけてその街で泊まり、食事をして酒を飲む。それも勝手に街を歩き、その土地の方たちが利用されるお店を探す。そうすることにより、街を知ることができると信じているのである。

本州からの転勤で北海道へ来ている人たちは、2~3年程度で戻るということもあってか、休みになるとよく旅をしているようである。だから、道内生まれの方よりいろいろな街を知っている。「どこそこの街の温泉が、なかなかいい」とか「あの街のレストランの○○がおいしい」といった具合に教えてくれる。そうなると自分でも行ってみたくなり、出かける。そしてまた、他人にも教えるのである。

昨年、流氷の街・紋別から記念品の依頼があった。紋別らしいものがいいということで、当然、出かけた。おかげで、生まれてはじめて流氷を見ることができた。

記念品のタイトルは「氷紋飾皿」と決めた。北国の窓にできる自然の氷紋芸術をガラス皿に表現したものである。

これからも道内を旅し、ガラスに北海道の美しさを込めた作品づくりをつづけていくことにする。

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