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1992年01月号/第48号  [ずいそう]    

創業100周年を迎えて
福山 卓爾 (ふくやまたくじ ・ 福山醸造株式会社取締役社長)

私どもの会社は、昨年、創業100周年という記念すべき年を迎えました。北海道で100年の社歴を有する企業と申しますと、希少な存在と思われがちですが、味噌、醤油という長い歴史をもつ日本の伝統食品を扱うこの業界でほ、まだまだ若い存在です。しかし、明治24年に先々代の福山甚三郎が海の仕事(北前船)から陸に上がり、札幌駅前に福山商店を創業したとき、札幌では電灯会社がようやく営業を始めたばかりだと申します。創業者たちは、おそらく夜はまだランプの明りを頼りに、麹室(こうじしつ)を見回ったり、帳面をつけたりしていたことでしょう。一世紀が過ぎた今では、味噌、醤油それぞれの近代的な工場で、品質管理の行き届いた製品が休みなく生産され、営業スタッフが全国で活躍しております。創業当時の苦労を思いますと、まことに感慨無量なるものがあります。

100年の歴史の中には、さまざまな波がありました。日清、日露の戦役、第一次世界大戦、第二次世界大戦、統制時代から自由経済への移行、オイルショック、流通革命と業界の再編成の時代等々。いろいろな波を乗り越えて今日を迎えることができましたのは、この100年のあいだお世話になったお得意様をはじめ、多くの方々のおかげであります。

「創業は易く、守成は難し」という言葉がありますが、私は創業守成の精神で、更なる発展を目指して精いっぱい頑張りたいと存じます。そのためには、得意先、仕入先にとって価値ある存在の会社になること。また社員にとっては、夢のある会社になることが大切であろうと思います。

戦後、日本人の食生活が少々欧米型に片寄ってきたようです。日本型の食生活が、最近見直されてきました。そのためにも、私たちは、よりおいしい味噌、醤油造りに専念したいと思っております。健康の保持には、味噌汁は絶対に飲んでください。

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