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1992年01月号/第48号  [ずいそう]    

オペラ劇場
竹田 正直 (たけだまさなお ・ 北海道大学教授)

私は、昨年夏(1991年8月)シベリアの150万都市ノボシビルスク市へ行く機会を得た。研究交流や文化交流とともに、私には小さな願いがあった。それは、オペラ劇場へ行くことであった。

札幌市は、「新しいシベリア」という意味のこの街と1990年6月13日に姉妹都市となったが、板垣市長とインジノーク市長の調印の背後には、サッポロオリンピック以来の日ソ協会札幌支部の願いと運動や、多くの人びとの熱い期待がほとばしっていた。

数年前、初めてノボシビルスク市を訪問したとき、この街のシンボルのひとつがオペラ劇場であることを知ったが、その時は、遠くから大きな円形の屋根を眺めるだけであった。

2年前の2度目のときは修理中で閉館となっており、足場の組まれた姿を何枚かの写真に収めるだけであった。それだけに、3度目こそはとの願いを抱いていた。しかし、訪問予定の車の中で、オペラの団員はドイツ公演に行っているし、内部修理は継続しているので、内部見学もできないことがわかった。

すぐに、少し前に知り合っていたオペラ劇場修理主任技師に電話をすると、早速、車で駆けつけてくれて、内部見学をさせてくれた。劇場内には2千余席のオペラ劇場と、千余席のコンサートホールの2つの劇場がある。円形の客席の天井は22メートルの高さで、そのうえ、外の天井までさらに11メートルの屋根裏がある。舞台の幅が80メートル、奥行きが38メートル。正面の緞帳は幅1メートルのコンクリート製で、上下に11メートルずつ開かれる。舞台の後ろには100の演目用の大道具が並んでいた。

人間にとって「豊かさ」とは何かを改めて考えさせられ、この街の世界的オペラを聴く日のために、「4度目の正直」という新しい諺が生まれることを願った。

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