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1993年09月号/第58号  [ずいそう]    

あなたも造れるおいしいビール
田中 傳右衛門 (たなかでんえもん ・ (株)和光代表取締役)

日本で1番量的に多く飲まれている飲料は、お茶を除くと、ビールでしょう。しかも、おいしいビールが自分で造れたら、どんなに楽しいことでしょう。

日本のビール業界は、大手4社と沖縄の1社に寡占された市場であります。それは、ビールの小売価格の約半分が税金で、大蔵省の認可事業のためです。酒税法は明治時代につくられた法律で、どうしたことかビールについては年間2000キロリットル以上の生産ができなければ製造許可がおりません。大ビンにして年間300万本以上で大規模な投資が必要で、小規模でおこなう手造りのおいしいビールは日本で醸造はできません。

世界にはおよそ2万種類のビールがあり、とくにドイツには約1100軒のビール工場で伝統的製法を用い、個性豊かなビールがたくさんあります。

そこで、手造りビールの造り方は、
(1)水のおいしい所ではビールが、水のまずい所ではワインが造られると言われるほど、ビールにはおいしい水が必要。市販している各地の名水を使うのも楽しい。
(2)二条大麦の種子を買って発芽させ、麦芽をつくるのは大変なので、市販のホップ入り麦芽を買い求める。
(3)一次発酵。(1)に(2)を加え、加熱して解かす。18度から26度に保ち、ビール酵母を入れて7~10日間醸酵させる。
(4)二次発酵。一次発酵の終わった液を、よく洗って殺菌したビールビンに詰め、3グラムの砂糖を加えて打栓し、2、3日は18度から26度に保ち、その後はできるだけ涼しい所で1~2カ月発酵熟成すれば出来上がり。この一連のキットは、大きな酒類販売店で売っています。

大切なポイントは温度管理と殺菌。そして一次発酵の容器は、ポリバケツではなく、ステンレスかホーロー容器を使用すること。この醸造法は上面発酵といいます。

現在日本のビールメーカーは、もっと低温で発酵させる下面発酵がほとんどです。アメリカやイギリスでは、近年、法律改正でビールの自家醸造が自由になりました。しかし、日本ではアルコール濃度が1%以下でないと酒税法違反になるので要注意。

おいしいビールの飲み方は、適度に冷した新鮮なビールをきれいなグラスにそそぎ、喉で味わうことが基本です。味覚はその人の体調、周りの雰囲気、そして合わせる食物の影響が大きいですが、新鮮なビールに勝るものはありません。

一般に市場に出ているビールは、長期間安定した品質を保つため熱処理殺菌やセラミックフィルターで濾過し、酵母やうまみが抜けています。やはりビール工場の蔵出し生ビールか自家醸造ビールが一番うまい。詳しくは(株)雄鶏社発行『手造りビール事始』をお読みください。

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