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1993年09月号/第58号  [ずいそう]    

近代社会で「街」とは何だろう
平田 修二 (ひらたしゅうじ ・ 札幌演劇鑑賞協会理事長)

インドネシアにバリという、茨城県と同じくらいの面積と人口を持つ島があります。「踊る島バリ」と呼ばれるほど、この島は芸能、芸術が盛んで、しかもその完成度は世界的水準です。それも、村々で違う芸能、芸術が伝承されています。ある村では踊り、別の村では音楽、または芝居というように実に多彩です。第二次産業がまったくないバリ島では、ほとんどの島民は、先祖伝来の田にはりついて大家族制のもとで生き、その村に伝わる芸能、芸術を身につけます。バリ人は、生まれたときから、皆が農民で芸術家です。

それらの芸能、芸術は、神に奉納されるというものですから、もちろん村人たちはただでそれらを楽しみます。去年、ある村でケチャという踊りを見ましたが、男は子どもから年寄りまで全員総出で踊り、女はそれを見て喜んでいました。バリでは、学校で有料で芸術を養成し、有料で人に見せる近代社会ではないということです。

日本にも昔は村祭りがあり、それが村を共同体たらしめていたと思います。ぼくも子どもだったころ、村祭り前の高揚した村の雰囲気に胸がワクワクしたものです。

先日、札幌で中小企業家同友会の全国総会がありました。そこで21世紀の中小企業の展望が語られていました。大企業はコスト減を求めて海外へ出ても、中小企業は地域から出られない。逆に、中小企業こそ21世紀の地域を担うものだ、というようなお話しでした。

ぼくは、今、札幌に劇場と演劇財団をつくろうという市民運動の事務局長をしていますが、先日、アメリカの劇団(劇場)の方のお話を聞く機会がありました。その劇団(劇場)には、毎年、何億という寄付が集まるのですが、その基本思想は、「自分たちで自分たちの街を良くする」ことだそうです。

今の日本で、「自分たちの街、札幌」といえるような街づくりは可能なのでしょうか。そのとき、芸術、特に演劇はどんな役割を果たせるだろうか。最近、そんなことを考えています。

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