ウェブマガジン カムイミンタラ

1994年05月号/第62号  [ずいそう]    

機上にて
秋山 孝二 (あきやまこうじ ・ (株)秋山愛生舘社長)

毎月4回~6回の東京方面への出張は、時として“かったるさ”を感じる場合がある。

昨年の暮だったろうか。東京発朝7時のジャンボに乗って、朝9時半からの打合せ資料に目を通していると、係のスチュワーデスが、「朝早くからお仕事で大変ですね」とやさしい笑顔で声をかけてくれた。

「本当はもっとゆっくりしていたいのだけれど、朝早くからの便があると、これに乗ればこの会議には間に合います、と気のきく社員が予約を入れてくれる。朝5時に目をさまし、6時少し前にはホテルを出て空港へ向かう。こんな出張を続けていると、命を縮めてしまう気がするけれど、こんな便をつくることが、本当に旅客サービスなんだろうか」と少々ボヤきながら彼女に語った。

「申し訳ございません。実はこの便は乗員にとっても大変なんです。私は横浜に家があるのですが、午前3時半に目覚まし時計をかけ、5時45分まで空港事務所に集合し、ミーティング。そしてこの便の勤務なんです…」。

「高速交通網の整備」「高度情報通信網の整備」、これらの進歩は本当に我々人間の生活を豊かにしてきたのだろろうか。朝一便が午前10時発だったとしたら、東京―札幌間が3時間の飛行だったとしたら、一体誰が不利益をこうむるのだろうか。朝はごく普通に起きることが許され、午前中の打合せは当然出席できず、欠席のまま会は進行する。それで一体何がマイナスに作用するというのか。ボンヤリ、機内の窓から外の雲をながめながら、ふとそんな想いにかられていた。

国際線では時々「明日の朝は朝食をお選びになりますか、それとも声をかけずにおやすみ続けますか」と、あらかじめ質問されることがある。静かにさせてもらえる、つかの間の静寂が許される。これは騒々しく、忙しい現代においては、最高で、最も安いサービスだと確信しているのだが…。

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