ウェブマガジン カムイミンタラ

1994年07月号/第63号  [ずいそう]    

これ、何語?
アナ マリア・戸部 (あな まりあ とべ ・ フリーランサー)

私は、メキシコ生まれです。日本人男性と結婚をし、札幌に住むようになりました。

肩書は、いくつかあります。新聞記者、○○会の会長、会社の役員、フリーランサー……ですが、本職は「女」です。

毎年、祖国(くに)に帰り、2、3カ月あちらで過ごす。また、他の国にも何回か旅行します。そのせいでしょうか、日本語がなかなか上手になりません。

職業柄、私には言葉が大事であり、気になります。大学で、新聞記者になろうとしている私たちに、言葉の大切さを熱心に教えてくれた文学の先生が、私にスペイン語での俳句を通して、日本語は美しく、幅広い言語であるということも教えてくれました。また、詩の世界では、俳句は完壁な詩であるともおっしゃっておりました。

ですから、日本に来る前から、日本語にたいへん興味がありました。日本に来て、生きた日本語が聞けるのが楽しみでした。ですから、そのときから今日まで、日本語の乱れが気になって仕方ありません。私の下手さを棚にあげて文句を言える立場ではありませんが、気になります。

言葉というのは生きものですから、時代とともに変わるのは当たり前。とくに、これだけマス・メディアが発達している世の中、いろいろな影響を受けたり、与えたりしていますが、基本は変わらない。ですが、日本語の場合はどうでしょうか? 正しい外国語でない外来語をやたらに使い、文法的に間違っている日本語、たとえば「ぜんぜん、うれしい」、「母親である」を「母親してる」。また、発音を英語風に歌って、語句がわからない日本人歌手。「けれども」を「そうして」として使う人びと……。

言葉は、国の文化の大きな柱です。その言葉の純正さを守るのが、国民の義務であると思います。国際交流の盛んな日本人には、英語も大事でしょう。でも、国際社会で、国際人として通用しようと思うならば、外国語だけでなく、その前に正しい日本語を話し、日本の文化、伝統を誇りにし、りっぱな日本人になる必要があります。

みなさん、日本語らしい日本語に、直してください。

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