最近テレビを見ると、弁護士が登場しない日はないと言ってよいようである。そしてまた、いろいろな弁護士がいるものである。
元来、裁判官や検察官に比べ、弁護士は個性派が多い。しかしそれにしても、バラエティーに富んでいることを改めて痛感する。片や殺された坂本堤さんのような熱血正義漢がいて、一方に人を小馬鹿にしたようなパフォーマンスおじさんがいて、弁護士ウォッチングなどという言葉も登場しそうな昨今である。
弁護士という職業が注目されるのは、私たち弁護士にとって嬉しいことではある。だいたい弁護士は敷居が高いとか言われ、敬遠されてきた。私たちも基本的人権の擁護と正義の実現を図る職業であるという自負のもとに、市民に身近な存在となるよう努力はしてきた。その典型が、死んだ坂本さんであったといってもよい。が、一般には縁遠い存在のように思われていた。その反省の上に立って日本弁護士連合会をはじめ各地の弁護士会は、身近な、分かりやすい、利用しやすい弁護士を目指して各種の改革を推し進めている。
その中で、最近のような様々な弁護士のブラウン管への登場は、弁護士を身近なものにしたという点では良かったのかもしれないが、どうもプラスイメージばかりではなさそうである。むしろマイナスイメージのほうが強いのかもしれない。
司法試験合格者は3年前からそれまでの5割増になり、さらに3年後には倍増されることが見込まれている。おかしな弁護士が登場しないよう、しっかりしていかなければ、私たち法曹界も鼎の軽重を問われかねないところである。
坂本さんの霊に報いるためにも、いま弁護士が面白いなどといわせてはならないであろう。