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1996年07月号/第75号  [ずいそう]    

アウトドア今昔
金井 哲夫 (かない てつお ・ 株式会社秀岳荘社長)

最近は週休2日の会社が多くなり、余暇時間のつぶし方に変化がでてきている。長い時間を、安く楽しめる遊びを求めているようだ。また、中高年層が多くなってきたためか、健康第一志向が高まり、そのために自然の中で余暇を過ごす人たちが増えてきている。

登山、キャンプ、カヌーなどアウトドアスポーツは、その条件に合うスポーツであり、レジャーではないだろうか。

「山へ行こう」をキャッチフレーズに、私の店「秀岳荘」の商売は成り立っている。創業者の父が登山用具店を始めたのは昭和30年ごろで、若いときの登山経験がそのまま商売になってしまったらしい。そのころ、すでに北海道大学山岳部が活発に活動していた時期で、部員に指導されながら、テント、リュックの製作をして現在の基礎をつくった。運送トラックにアパートと間違えられた店名であるが、今は亡き山岳画家で北海道大学山岳部OBの坂本直行さんに『秀岳荘』と名付けてもらった。札幌には全国的に有名な門田ピッケル製作所があったが、現在は廃業してしまった。

しかし、北海道は本州にくらべて川、湖の規制が少なく、カヌーに適した地域である。街には四駆のRV車が多くなり、リュックにワークブーツ姿が若者のファッションとなるなど、アウトドアの流行も過熱ぎみの様相を呈している。当店は登山用品を中心に商売しているが、昨今のアウトドア志向で、今では若い人たちに人気があるカヌーも手がけている。

米国のスポーツウェア「パタゴニア」社は、そんな当社が敬服している企業だ。経営姿勢が素晴しい。その第一は、自然保護、環境保全である。また、リサイクルと省エネにも、会社ぐるみで努力している。

日本でも農薬による環境悪化が心配されているが、この会社はオーガニック・コットン(有機栽培綿花)を積極的に使ってスポーツウェアを製造している。

アウトドアを商売にしている私たちとしては、経済効率第一主義から脱却し、地域社会のために少しでも貢献することが社会的使命であると深く考えさせられる。

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