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1996年11月号/第77号  [ずいそう]    

私と童謡
関口 清 (せきぐち きよし ・ 札幌デンタル・ラボラトリー 代表取締役)

昭和10年代生まれの私にとって、少年のころのことを思う時、頭の中では、なぜか童謡がBGMとして流れています。運動会、学芸会はもちろん、学校帰りにケンカしたことを思い出しても、田舎のあの道、あの川、あの山といっしょに『赤とんぼ』や『春の小川』などが頭の中で流れるのです。そして、一度流れると、もうその日は1日中エンドレスで『赤とんぼ』が流れています。童謡を聞いて育った年代だからなのでしょうか、童謡が聞こえてくると、なぜかホッとします。

時には当時の流行歌もよいのですが、兄姉に育てられた私にとっては、姉が歌っていた流行歌はあのころの貧しく辛かったことが直接思い出され、かえって悲しくなるのです。

小学校唱歌として、童謡は教科書に載っていました。『かっこう』の輪唱や『もみじ』の二部合唱の楽しさも教わりました。静かな湖や紅葉の美しさが目の前に見えるような気がしたものです。

今の小学校の音楽の教科書には、もう童謡は載っていないと聞きました。現代の子どもに合う歌が採用されているのでしょうが、だからといって、忘れられていいとは思いません。その証拠に、あちこちで童謡を歌い続けようというグループが生まれています。日本人の本質に合っているからなのでしよう。

私も、昨年、童謡を愛する仲間と「童謡を守る会」を結成しました。月に2回、ヤマハ札幌センターのホールを借り、プロの先生の指導で楽しく歌っております。1年半を経過した現在、会員は100人を超えました。しかし、40歳代、50歳代、60歳代の方が大半で、残念ながら20歳代の方は1人もいません。

テレビなどでも童謡がもっと流れたり、CMに使われたりしたら、若い人たちにも認識されると思うのですが、このままだと“年配者たちの歌”になってしまいそうです。

若い世代にも童謡の良さを感じてもらい、歌い継がれるよう、地道な活動を続けたいと思っています。

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