ウェブマガジン カムイミンタラ

1998年01月号/第84号  [ずいそう]    

長寿と長命
田中 良治 (たなか りょうじ ・ 札幌田中病院院長)

「人生80年、輝かしき長寿時代の到来」そんな言葉をよく目にしますが、はたして、ほんとうに長寿時代なのでしょうか。私たちの周りのお年寄りを見渡しても、自分のせっかくの長生きを持て余し、嘆いている人が見受けられます。極端にいえば、死ねないから生きているとでもいった生き方、「サンデー毎日」の人生とでもいうのでしょうか。私はこのような生き方を長寿と区別し、長命といっています。

ただ単に細胞が生きているという状態の長命とは違い、長寿とは「人生を楽しみながら、何らかの目的意識をもって生きる」ことをいいます。長生きにちょっとしたスパイスを効かせた生き方こそ長寿の真の姿なのです。社会の仕組みや生活習慣の仕組みの中で、のんべんだらりと生きていくだけでは長寿人生とはいえません。それなりの努力や発想の転換を必要とします。

まず「運動、睡眠、食事」という健康管理の大原則を人まかせにしないことです。たとえ病気に遭遇しても慌てず、「日常生活がそれなりに送れればよし」とし、病気とほどほどに友達づきあいをすることです。

また、生涯取り組める、生きがい的な趣味などを持つことです。目的、役割意識が持てるボランティアのような社会参加型のものであれば、さらに良いでしよう。

この趣味、課題の中で忘れてならないのが、お金です。他人に迷惑をかけず、ほどほどに生活を楽しめるお金を持つことです。

そして、異性を含めて友達をたくさんつくることです。生涯友人が何人いるかで、後半の人生が変わってきます。老いてからの不安は、孤独です。これを解消するのが友達なのです。

ものの考え方も、前向きに、肯定的に、あまり欲も見栄もはらずシンプルに、プラス思考で、自分なりにユニークな生き方をすることです。

余談になりますが、長命の生き方はボケになりやすく、長寿はボケにくいようです。なぜなら、生涯現役だからです。

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