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1998年03月号/第85号  [特集]    

不当な暴力の介入の根絶をめざし市民生活や企業活動を守る
民事介入暴力対策委員会 札幌弁護士会

  バブルの崩壊によって資金源を細められ、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(暴対法)の施行によって行き場を追い詰められている暴力団は、あらゆる民事の紛争にもさまざまな手口で介入し、不当な利益を得ようと企業活動や市民生活を脅かしつづけています。市民や企業のために、法を守る担い手である弁護士は、個々の弁護士活動のほか、弁護士会としては各地でそうした問題に対応する努力を、自立・自治組織として裁判所、警察署などと力を合わせながら取り組んでいます。札幌弁護士会でも、個々の弁護士の活動のほかに民事介入暴力対策委員会を設け、どんな相談にも応じる体制をとっています。

さまざまな手口で企業や市民生活に食い込む暴力

イメージ(民事介入暴力事案の相談を受けている札幌弁護士会)
民事介入暴力事案の相談を受けている札幌弁護士会

「暴対法」が施行されたのは1992年(平成4)ですが、多くの市民が、民事に介入して不当な行為をする暴力団の存在をはっきりと意識するようになったのは、とくに最近の総会屋をめぐる大企業の犯罪ではないでしょうか。しかし、暴力団の民事介入は大企業の話だけでなく、現実に身近なところで市民生活を脅かしています。

最近は不況が長引いているために、多くの会社は資金繰りに苦慮しているといわれます。さらに金融不安もあって銀行の貸し渋りが目立ち、融資を頼んでもあらためて担保物件を要求されたりします。そこで、手形決済までに資金がよくよく足りなくなると、あちこちの“まち金融”を渡り歩いたりすることになります。すると、こんな会社が現れたりします。

社員らしい人が応対に出てきて「私に任せてください」というので、すがるような気持ちで資金手当てを頼むと「手形帳と代表印・実印を預かりますよ」と言います。へんだなと思っているうちに「何々会の者だ」と暴力団を名乗る男が乗り込んできたのです。その事案の相談が札幌弁護士会の民事介入暴力対策委員会に持ち込まれたので「この件は札幌弁護士会の方で引き受けるので、以後、手を引くようにと内容証明を送ったところ、それで終わり、事件にならずにすみました」と話すのは、委員長の窪田もとむ弁護士(49)です。

被害を受けた人を救済するのは弁護士として当然の義務

イメージ(札幌弁護士会の広報)
札幌弁護士会の広報

このように、さまざまな手口で企業や市民生活に食い込む暴力被害を防止しようと活動している団体のひとつが、札幌弁護士会(〒060-0001札幌市中央区北1条西10丁目、第百生命第二ビル7階)民事介入暴力対策委員会(連絡先・札幌弁護士会法律相談センター=札幌市中央区大通西10丁目、南大通ビル TEL:011-251-7730)です。この委員会が設立されたのは1980年と早く、まだ暴対法が施行されるかなり以前でした。

窪田さんは、「弁護士・弁護士会がなぜこうしたことに取り組むかといえば、民事に不当に介入してくる暴力は当然排除し、根絶しなければなりませんが、そうした暴力によって被害を受けた人を救済するのが、その目的です。それは市民の権利の擁護であり、社会的な正義の実現でもあるという職業上の当然の義務だからです」と話します。そして、まず民事介入暴力とは何かの定義から説明します。それは「違法な要求や暴力行為をもって民事紛争事件に介入してくる行為である」とのことです。

「具体的な例でいえば、お金を貸したけれども返してくれない。そんな場合に脅したり、暴行したり、監禁したり、いじめたりすると、それは犯罪行為として刑事事件にもなりますが、民事事件としても、当然、排除されるべきものです」と言い、会社の経営をめぐる対立の問題、借地・借家の関係などあらゆる民事事件に介入してくる典型的な例を次のように話します。

「民事には暴力団の組員が当事者になっている場合がありますし、ある当事者の依頼を受けて介入してくることもあります。また、どこからも依頼を受けていないのにささり込んでくることもあるのです。なんだか知らないうちにヤクザが“おれに任せておけ”と言って入り込み、気がついたらいちばん中心のところで取り仕切っている。最近の暴力団は明らかにヤクザだとはわからせないように、通常の社会取引関係にある人のような形態をとりながら裏で暴力団とつながっているというケースが増えているのです」と。

そこで、窪田さんが委員長に就任してから委員会がかかわった事案を、さらにいくつか紹介してくれました。

その1 借入金の膨らんでいる会社に食い込んで「当面の運転資金は融資してやるから、担保に株券を寄越しなさい」と言って株を取り上げ、そのまま会社を乗っ取ってしまおうとするもの。この会社は借財も多いが資産もそこそこにあり、借入金の整理さえつけば日銭は入り、利益の上がる会社だったのです。
 この場合、株を担保に取り上げた人が直接乗り込んでくるのではなく、金を貸す人、担保に取った株を第三者に譲渡するか、立て替ヲ払いをさせて移転させるかで、その中間に入る人もいます。さらに、その人の依頼を受けて会社に乗り込み、実際に経営をする人などいろいろ役割分担があり、それが裏でつながっているのです。担保に取られた株は転々と譲渡されていて、借りた資金は返済するから株を返して欲しいと言っても、そのときは、当初の借り金の5倍も10倍もの額を払わなければ株は返してもらえないということになっています。そこには、いわゆる暴力団のフロント企業とか企業内舎弟といわれるような人たちがいて暴力団に協力しているのです。

その2 ある産業廃棄物処理場の企業を乗っ取って経営陣を追い出し、暴力団の関連企業と思われるものが実際に運営するようになったものがあります。

その3 ある土地に、借地人が自分で建てた家を持っていて以前から住んでいました。その古い家をほかの人が買い取り、地主に再契約を要求しました。地主は普通の人と思って再契約に応じたところ、ある日工事が始まり、古い家が鉄筋コンクリートの建物に生まれ変わり、暴力団の組事務所になってしまったのです。近年、組事務所はどこでも地域住民などから立ち退きを要求されるので、行き場がなくなっています。そこで、フロント企業や協力者の名前で土地や建物を借りさせ、そこへあとで乗り込んで来て組事務所にしてしまうという典型的なやり口です。

安易な対応は高くつく、ためらわず専門機関に相談を

窪田さんは昨年11月、道警本部と北海道経済連合会などが主催した「企業対象暴力等緊急対策会議」で講演をしました。これには道内の主要企業140社ほどの経営者などが参加するという関心の高さでした。

そこで、窪田さんは総会屋・暴力団との絶縁を呼びかけたのです。

「道警の説明では、暴力団が企業を恐喝するなどして違法な利益を得ていた―といった事件を捜査していく過程で、余罪を追及していくと、被害届を出している企業のほかにも、闇の金銭を供与している企業が次々に出てくるということです。それは、へたに逆らって営業妨害をされたり、場合によってはケガをさせられたり殺されたりするよりは、わずかな金銭で済むなら渡してしまえ、という対応の仕方が多いからではありませんか。しかし、企業が総会屋などに利益を供与したり、暴力団などの不当な要求に応じて金銭の支払いや利益の供与をすると、重い法的・社会的責任を負わなければなりません。企業が暴力団などの闇社会と絶縁することは、いまや至上命題、最大の緊急課題となっています」と、窪田さんは企業経営者が正当な認識を持つことの緊急性を強調しました。

暴力団などは、いったん企業とのつながりができると、それをネタにとことん企業をしゃぶり尽くすという特質があります。そして、くみしやすいと思うところに、集中して攻撃をかけてきます。最初はわずかな金品の要求だからと思って応じると、それを口実にどんどんエスカレートし、多額の金品などを次々に要求してくることになります。

「最初は機関誌を購読してくれ、ある行事の賛助金を欲しいといったことから始まり、やがてそれを断ったりすると、突然、本性を現すのです。企業も万全ではないので、多少のミスをすることはありますね。仮に、消費者とのあいだでトラブルが生じたときなど、通常の賠償で対応していれば問題は起きないのに、臭いものにフタをするような意識で対応すると、途端に弱みを握られ、取り返しできないまでの深みにはまってしまうのです」。

オープンなルールに従い毅然たる姿勢と手法を

「バブル期のころ、土地転がしや地上げなどに暴力団が暗躍し、民事介入暴力などの事案が多発しました。現在は、そのころに企業と癒着した暴力団がそのまま残り、さまざまな民事に介入してきている状況ではないかと思います。総会屋対策の問題にしても、不動産会社や証券会社、金融機関などが一時期そうした闇の社会となんらかの形で手を結んで利益をあげていたということがあるのでしょう。そして、その整理をきちんとしないまま放置してきた。そうした負の遺産の精算を、いま求められているのです」と窪田さんは指摘します。

総会屋に付きまとわれて多額の金品を渡している事例がマスコミで報道されているために、まったく不当な要求を受けて暴力団とトラブルになっているのに裏で違法取引をして弱みを握られているからではないか―という目で見られるという状況になっています。

「株主総会のあり方・考え方も改められなければなりません。千何百社という上場企業がみんな同じ日、同じ時間に株主総会を開いて議事の審議時間の短さを競うようにシャンシャンと手を打って終わる―、そんな総会のあり方こそが異常なのです。株主総会というのは、出席株主から議論百出するなかで論議を尽くし、最終的には経営に対するもっとも合理性のあるものを多数決で決めるのが株主総会の仕組みなのです。そのため、議長を務める社長はきちんとした議事の進め方や、違法な要求はきっソりと排除するという毅然とした姿勢や手法を身につけることが必要です」とし、国内市場だけでなく、海外の投資家や企業から信頼を獲得するためにも、オープンなルールに従った手続きによって株主総会が開催され、企業活動が進められることが望ましいと、窪田さんは強調します。

暴力団が、会社の窓口や店先で“いちゃもん”をつけてくると、多くの場合、総務系の対応窓口で適当に処理しようとするケースが多いとのことです。しかし、暴力団などが中途半端なままで手を引くことは絶対にないし、目先の安易な処理によって企業そのものの存立さえも脅かされることになりかねないといわれます。そこで窪田さんは「こうしたときの、企業危機に対する基本的な姿勢が問われています。したがって、企業全体としてどのように対処する・が、トップを含めて意思統一されてるべきです」と強調します。

違法行為は差し止め、被害者を司法的に守る

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「なかなか表に出てこない事件もあるのではないでしょうか。暴力団は、弱い人には強いけれども、警察や裁判所など強制力のある権力には弱いのです。したがって、法律の担い手となっている弁護士がかかわってくることをいちばん嫌います。ですから、私たち弁護士はもっとみなさんに情報を提供したり、アクセスしやすい状況をつくり、不正な勢力を根絶してしまおうという目的で活動しています。警察活動はあくまでも犯罪の摘発と処罰にありますが、弁護士・弁護士会の立場は、民事介入暴力によって被害を受けた人の権利の擁護と被害の回復に主眼を置いています。ですから、弁護士は被害者の味方だと思ってもらっていいのです」と窪田さんは断言します。

イメージ(暴力追放ポスター)
暴力追放ポスター

弁護士が民暴事案の依頼を受けたとき、まず内容証明郵便で依頼を受任したことを通知し、その後の加害行為が被害者に及ばないようにします。そして、不当要求行為が刑法上の脅迫罪、強要罪、恐喝などに該当するほか、民事上の不法行為にも当たることを明確に告げてその中止を求め、その違法行為が継続されるようなら、法的手続きをとる旨を警告します。

次に金融強要、街宣活動、業務妨害などの違法行為の差し止めを求める仮処分の申請をし、違反者に対する制裁金の支払い命令など間接強制手続の申請をします。

そして、損害賠償請求、債務不存在確認請求などの民事訴訟を提起したり、刑事告訴、告発の手続きをとったりします。

札幌弁護士会の民暴委員会は現在19人の弁護士が委員となり、数人ずつが月別担当者となって対処しています。もちろん、委員全員が対応することもあります。この場合も、弁護士費用は1人分以上は請求されないということです。

「司法はもっとも弱い立場の人の権利や利益を擁護する手続きです。ルールに従って対処すれば、必ず不当な侵害から守ってくれるのだということを信じて、その撲滅に向かって協力しあいたいものです」と窪田さんは話しています。

「弁護士・弁護士会はいつでも門戸を開いて、市民の権利を守るために最大の協力を惜しまない姿勢です。その目的は被害者の救済にあります。道警をはじめとする警察の対応部署などと緊密な連携もとっています。だからといって、暴力団との癒着の責任を追及したり、制裁を加えたり、警察に密告したりするようなことは絶対にありません。警察としても、被害者の立場に立った対応の姿勢は持っています。信頼して、気軽に相談してほしい」とも。

暴力団は、非がまったくない場合にも、口先の巧みさも含めあらゆることに言いがかりを付けて食い込み、利益をむさぼろうとする、本来そうしたものだという認識を持っている必要があります。また、たとえ自分に弱みがあって不当な要求を突き付けられるきっかけをつくったとしても、それは率直に認めて対処し、それ以上の被害を受けないようにすることが、なによりも大切です。市民社会としてのルールを守ること、地域・隣人との広く深いつながりのあることが、その強い支えとなります。

万一にも暴力団が身近な問題に不当な介入をしてきた場合、弁護士会や警察その他の頼みになる窓口団体にも気軽に、そして率直に相談し、協力を依頼し、解決をはかっていかねばなりません。また、弁護士・弁護士会にも、いま以上に市民の頼りになる存在として、研鑽と資質の向上に努め、市民とのつながりをいっそう深めてくれることが期待されています。

民事事件等の報酬

経済的利益の額             : 着手金 : 報酬金

300万円以下の場合            : 8% : 16%
300万円を超え3,000万円以下の場合 : 5%+9万円 : 10%+18万円
3,000万円を超え3億円以下の場合 : 3%+69万円 : 6%+138万円
3億円以上の場合            : 2%+369万円 : 4%+738万円

・この表の金額は標準額であり、事案によって30%の増減額ができます。
・示談交渉事件・調停事件は、この金額の3分の2の額にできます。
・着手金の最低額は10万円です。
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けっして敷居は高くありません。
信頼され、ともにある弁護士をめざしています。
札幌弁護士会  会長 後藤 徹さん

じつは、たったいま、ある社会的な広がりのある事件の証人をお願いして尋問をさせていただいた人が、妹さんのところに離婚についての訴状が届いていたと言って尋ねて来られ、私にでも会わなければ「弁護士などは遠い存在であり、裁判なんて自分には縁のないものと思っていたのに、実際には身近なところで生活しているのですね」と話して、お帰りになったところです。

たしかに、多くのみなさんは裁判所や司法、弁護士などは自分の生活には縁のないものとお考えのようですが、私たちは法治国家で生活してますので、じつは法と身近なところで暮らしているのです。たとえば、自動車が日本で普及するようになってから現在まで国民の4人に1件の割り合いで交通事故が起きているといわれますが、被害者になっても加害者になっても、その解決にはまさしく法的な問題としてかかわらなければなりません。そのように、市民相互間の関係でも法的に考えなければならない事象は日常的に起こっています。そればかりではなく、国や自治体が行政上の行為をするときにも、法や条例、規則などいろいろありますが、いずれも法という形式のもとでおこなわれているのです。

それだけに「遠い存在」とか「敷居が高い」といわれている弁護士は、市民のみなさんにより近づく努力をしなければならないと常々考えております。

以前、私どもがアンケート調査をしたところ、ご自分で弁護士に依頼をして訴訟や相談ごとを解決した経験のない人の8~9割は「何かむずかしい話をするのではないか、高い費用がかかるのではないか」と思っていらっしゃる。しかし、実際に何かを解決するため弁護士に依頼した経験のある人が、そのように思っている人は2割もいないという結果が出たのです。

そこで私どもは、基本的なあり方として「市民に親しまれ、信頼され、市民とともにある弁護士・弁護士会をつくろう」ということを標榜して活動をつづけているつもりです。その活動の一つとしては『こんにちは、弁護士会です』という広報誌を発行していますが、最近号では「成人を迎える方へ」とか、高校や大学を卒業する人を対象にして「社会へ出られる方へ」、また中小企業の方々にむけて「こんなことで悩んでいませんか」など、より踏み込んだ内容にしています。また、「何か心配ごとがあったら一人で悩まずに、法律相談センターに電話をください、お出かけください」と呼びかけております。そうしたことがかなり浸透できたようで、法律相談センターだけで年間約4,000件、私どもが委託をうけている札幌市や区役所の法律相談室の数も加えると年間10,000件ほどのご相談をいただいております。昨年4月にはインターネットのホームページを開設しました。この3月には会員一人ひとりの写真や個人情報、どんな信条をもって弁護士活動をしているかということをご紹介する『札幌弁護士会の本』(売価1000円)を発行する予定です。

弁護士報酬のことでは、1回目の相談料は30分5,000円と決めております。実際の費用は事件の一つひとつに個性があるので類型的なことしか決められませんが、制度上もご心配いただくほど高い費用ではないと思っております。

私どもは、市民のみなさんが切実に考えている権利の問題などを一緒に、真剣に考えていくことが大切だと思っています。その現れの一つとして、たくぎん抵当証券の倒産のときに、「これは市民の権利の擁護にかかわっている弁護士・弁護士会として放置できない問題」と考えて呼びかけ、52人の会員有志によって被害者弁護団を結成し、その解決にあたっています。

こうした公的な活動は、かなりの分野ですすめております。「民事介入暴力被害に関する委員会」や「子どもの権利に関する委員会」、女性の権利や家族の権利の問題を扱う「両性の平等に関する委員会」などを設置して制度的に取り組んでいます。また、粉じん公害や千歳川放水路問題をはじめとした道内のいろんな公害問題をとり上げてきた「公害・環境問題に関する委員会」の活動もあります。

「医者と弁護士には、知りあいがいて、世話にならないのがいい」とよく言われます。しかし、現在は弱い立場にある人の権利の実現はむずかしい社会ですので、私たちはみなさんと一緒に考え、行動させていただくことをもっとやりつづけようと思っています。それと同時に、私どもは弁護士である前に一人の市民であり、家庭人でもあります。昔は「良き法律家は悪しき隣人」といわれたものだと学生時代に教えられましたが、私たちは「良き法律家は良き隣人」でなければならないと思い、ご近所で、子どもの通っている学校で、そして地域で一人の市民としての活動もしていかなければならないと、自戒も含めて考えております。

最寄の警察でも相談に応じ専門の刑事が対応している

北海道警察本部が、最近5年間に受理した暴力団関連の相談件数は次のとおりです。それによると、地上げ屋なのが暗躍したバブル期以降、暴対法が施工された翌年の1993年(平成5)にいったん減少したものの、その後、ふたたび増加を続けています。

道警本部広報課では「近年は大規模暴力団による寡占化が進み、わいせつなビデオの通信販売にいたるまで、資金源の獲得活動はますます悪質、巧妙、知能暴力化しています。なかでも、民事介入暴力はあの手この手で市民の日常生活や様々な経済活動の場面に絡み、暴力団の威力を脅しにして不当な利益を得ようとしています」と警告しています。

その主な手口をみますと、
(1)最近マスコミをにぎわしている総会屋は、上場会社など大手企業の不当な行為やスキャンダル、役員や社員の不始末などをめぐって裏取引をし、不当な利益を得ようとするものです。
(2)企業の倒産に際して、債権者を名乗って不当な返済などを受けて善良な債権者に不利益を強要したりするものがあります。これには、俗に「整理屋」と呼ばれる職業集団が存在するといわれます。
(3)整理屋と同じような手口では、自ら債権者を装ったり依頼を受けて売掛金や貸金を暴力的に取り立てるものと、その逆に債務者から依頼を受けて暴力的に債権の取り立てを断念させるものがあります。
(4)手形を騙し取るパクリ屋と、「手形を回収してやる」と言って回収した手形を高額で買い取らせるサルベージ屋というのがあり、両者は裏でつながっている場合が多いといわれます。
(5)信用を重んじる金融機関の弱みをネタにして、返済の意思もないのに次々と融資を強要するものもあります。これは「強制融資」といわれるものです。
(6)賃貸マンションなどに内縁の者などを住まわせて同居し、家賃などを払わずに他の住人に迷惑行為をして、法外な立退き料を要求するもの。俗にアパート屋と言われるこの種の手口は多様です。
(7)交通事故の被害者に「示談交渉を有利にしてやる」と介入し、加害者や損害保険会社に法外な示談金を支払わせるものなどがあります。

道警では「仮に、ちょっとした交通事故の示談交渉の場面などにも、暴力団が絡んできたなと思ったら必ず金銭目当ての要求をしてきますから、ためらわずに警察に相談してください。道警本部には刑事第2課(電話 011-222-0200)に暴力犯係があって、暴力を専門に捜査している刑事が必ず個々のケースに沿って相談に乗ってくれます。また、最寄の警察署にも殆ど刑事第2課はありますし、場合によっては交番や駐在所に相談しても、必ず本署に連絡をとり、専門の刑事が来て、暴対法による中止命令をかけられる事案か、民事で解決できるかを判断して、適切に対処します」と話しています。

もちろん(財)北海道暴力追放センター(フリーダイヤル 0120-220-490)でも専門の相談員が常時待機していて暴力追放にかかわるあらゆる相談に応じています。札幌弁護士会も道警や暴力追放センターと一体になって連携をとりながら、暴力の排除にむけての窓口を開放しています。

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