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1998年07月号/第87号  [ずいそう]    

転勤族のネットワーク
野川 晃一 (のがわ こういち ・ 北海道東北開発公庫北海道支店長)

私は転勤族である。新潟育ちの私が約30年前に東京の大学を卒業して、札幌→仙台→東京→札幌→仙台→東京→青森→東京、そして昨年の4月に、12年ぶりの札幌勤務となった。今回が8回目の転勤であったが、そのたびに思うのは引っ越しの大変さである。家庭の中に如何に不用な物が多いか、物を持たない生活がどんなに楽かとつくづく感ずる。

このように大変さもあるが、これに代えられない良さがある。いろいろな人との出会いである。数年前に2年間住んだ青森のことが最も印象が強い。1人当たり県民所得が下から数えて数番目。津軽藩と南部藩という異国同士が合併して出来上がったといわれる青森県であるが、住んでいる人は親切で優しい、魅力ある人びとである。そのうえ、2つの刺激的なニュースが全国に発信されたことも大きい。1つは、世界最大級のブナ原生林が広がる白神山地がユネスコ世界遺産条約の自然遺産に登録されたこと。もう1つは、全国的に縄文ブームを巻き起こした三内丸山遺跡である。

青森を去ったあとも、そことの縁を切りたくないとの思いが強く、2つの会に入った。「三内丸山縄文発信の会」と「ブナの里親制度(西目屋村)」である。いつの日か、自然とともに生きる知恵を教えてくれた三内丸山遺跡を訪れ、ブナの里子たちの元気な姿を見たいものである。

札幌で現在、青森県知事からの委嘱を受けて「青い森の特派員」を務めている。北海道において青森県の魅力・良さを折に触れて広める自主的な活動であるが、仕事柄、人に会う機会の多い私にとって楽しい任務でもある。

最近、世の中における情報通信ネットワークの利用拡大に目を見張るものがあるが、フェイス・トゥ・フェイスの交流の重要さは失われるものではない。その意味でも、人と人とのネットワークを豊かにしていきたいと考えている。

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