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1999年01月号/第90号  [ずいそう]    

拓銀破たん後1年間を振り返って ~新生北洋銀行に望む~
清水 一男 (しみず かずお ・ 中小企業金融公庫札幌支店長)

北海道のメインバンクであった拓銀の破たんは、当初、道内経済・金融システムを大混乱に陥ること必至と見られ、私自身もそれを恐れた1人であった。

確かに激動の1年であり、さまざまな場面で大揺れに揺れて倒産も多発したが、1年経った今、大変さが思ったほど表面化せずに何とか北洋銀行への営業譲渡にこぎつけ、まがりなりにもソフトランディングができたと感じている。

また、総資産8兆円を上回る拓銀の破たん処理は前例のない大規模なものだっただけに、北洋銀行はじめ関係当局の作業は試行錯誤の連続だったと言われているが、銀行破たん処理の貴重なひな形を残したという皮肉な事実をどう受け止めたらよいであろうか。

拓銀の第二分類債権等の継承にあたって北洋銀行は、北海道経済の影響の大きさを考えて当初想定した以上の継承をせざるを得ない結果となったが、預金、貸出金ともに旧拓銀を超す約3割の高シェアーを有することとなった道内トップバンクの新生北洋銀行としてはやむを得ぬことであったと思う。

しかしながら、「地崎工業」の継承に見るように、結局は行政や政治主導の救済劇が印象深く残ったことは北海道の企業の真の自立という重くかつ喫緊の課題をまたもや先送りした、と言われても仕方がないのではなかろうか。

新生北洋銀行が乗り込まねばならない課題は多いがゆえに、道内金融システムが新たな安定した姿を整えるまでには今しばらくの時間がかかるかもしれない。しかし、厳しい経済環境下にある多くの道内企業の逼迫感は待ったなしであり、越冬時期を迎えて1日も早く安心して相談できる取引関係の構築を期待するのも無理からぬ話である。道内金融界のリーダーとして、旧拓銀の良きところと人材を大いに活かしつつ北海道経済、そして多くの企業の再生のために全力を傾注していただきたい。

政府系金融機関の一翼を担う中小公庫は応援します。

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