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2000年03月号/第97号  [ずいそう]    

新世紀、地域社会の一つのあり方
金山 公夫 (かなやま きみお ・ 世界アクティブビジョン研究会会長)

人間集落の一つの理想郷として「ビレージホームズ」というエコ地域社会がある。アメリカ・カリフォルニア州デービス市(人口約5万人の学園都市)の西側の一角、面積24平方キロメートルに240軒、800人が住んでいる集落で、Michael & Judy Corbett夫妻により1972年から計画され、1975年に造成が開始された。幸い、著者はちょうどこの1975年の春に文部省在外研究員としてU.C.Davisに1カ月半滞在し、指導教授の案内で着手されたばかりの手づくり団地の一部を見学することができた。

彼らの理念は“人と自然との共生した環境づくり”である。エネルギー、環境、経済の関係をよく“3Eのトリレンマ”というが、この悪循環から逃れるにはもう1つのE(Social Equity)、すなわち平等と公平の原則を導入しなければならない。環境は自然のみでなく、隣人や地域も自分を取り巻く環境の一部であり、4Eのバランスのとれた知恵の輪ができて初めて、持続可能な資源循環型社会が実現できる。

家々の屋根にはソーラーシステムがあり、太陽熱のアクティブ利用で暖房給湯が行われ、天窓や南面の窓を大きくとり、昼間に太陽を十分に取り入れ、床や壁に蓄熱して夜間の放熱するパッシブ利用の併用である。家の前は道幅の狭い自動車道路が通っているが、袋小路になっていて車はスピードが出せない。前庭は狭いが、裏庭が共同広場(Common Area)となっており、家と家の境界には垣根がなく、その間を歩道と自転車道がネットワークに走っている。道路には街路樹が大きく育ち、家々は果樹などの人工林で囲まれた森の中に点在し、実った果実は誰でも自由にとって食べることができる。雨水は素掘りの排水溝に集められ、流下しながら土壌にしみ込み樹木の成長を助ける。

今回、北見市の街づくりの皆さんと一緒に先進地視察で再度この地を訪れる機会を得て、四半世紀を経た今、当時描かれたエコ団地造成の青写真はかたくなに守られ、実現していたビレージホームズを目の当たりにして、大きな驚きを感じた。

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