ウェブマガジン カムイミンタラ

1995年05月号/第68号  [ずいそう]    

こころとからだのバランス
布上 恭子 (ぬのがみ きょうこ ・ 札幌市立高等専門学校教授=保健体育)

1995年は、わずか3カ月の間に、1月17日の神戸の大震災、世界に影響する円高、そして無差別殺人ともいえるサリン事件からオウム真理教問題へと次々に世界の注目をあびることが起こっている。今、私は、これらのことをただ単なる一つひとつの事態として見逃せない気持ちで毎日のニュースを欠かさず見ている。

21世紀に向かって、心豊かに平和に生きるために、これらを私たちが挑戦しなければならない課題として受け止め、神戸の復興もオウム真理教の問題も、機械的な解決だけではなく、もっとソフト面に注目し、人間本来の温かな交流の中から、殺伐とした心や怠惰なからだを見直し、心身ともに豊かな日本人をつくる努力をしなければならないと思うのである。

人間とは?と、最も興味深く学ばせてもらったオウム真理教の問題は、まだまだ解決に時間がかかるであろう。これ以上の犠牲者が出ないことを切に祈りたい。今まで安全な国といわれていた日本が、世界中に注目される大きな事件を起こしてしまった。なぜ、このような方向へ事が進んでしまったのか。人間の本質にかかわる問題であると、つくづく考えさせられている。このことは、日本の家庭を含めた教育への警告でもあろう。

大脳のごく一部分だけを、きわめて集中的に使うことで、心とからだのバランスを崩し、機械のような人間を育ててしまったきらいはないか。やさしさ、思いやりを忘れ、自分さえよければよいという個々人の考えが、大きく世を動かすきっかけになっていないだろうか。頑張る人、能力のある人が、なぜか学校に行けなくなったり、変ないじめにあったりする傾向が増し、子どもの世界ばかりでなく、記録や技の向上を目指すスポーツの世界でさえ、また仕事のうえでもこの傾向が見られるのがなんとしても気になるところである。他人とだけ競争するのではなく、心身ともに、真摯(しんし)に自分と戦う心地よさを教えたいとしみじみ思う、今日この頃である。

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